2015 Fiscal Year Research-status Report
二交代制看護師のワークライフバランスに向けた疲労回復のための実証的研究
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26463295
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Research Institution | The Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing |
Principal Investigator |
大重 育美 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (70585736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 多恵 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (00597776)
中島 充代 福岡大学, 医学部, 准教授 (60320389)
飛奈 卓郎 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (60509678)
峰松 和夫 長崎大学, 教育学部, 准教授 (60622644)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 二交代制 / 夜勤 / 疲労回復 / 生活活動 / 休日の過ごし方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は二交代制勤務の看護師の「主観的・生理的な疲労度と生活パターンの推移を調査し、疲労の回復の影響要因を明らかにする」ことを目的に、(1)二交代制看護師の日勤→夜勤→休日の主観的疲労度、身体活動量と加速度脈波を測定し、疲労の回復過程における影響要因の解明、(2)16時間から13時間短縮の変則勤務体制への移行に伴う疲労度の推移の解明、(3)疲労の回復過程に影響する生活活動を解明し、二交代制看護師に向けた生活活動指針の提案、(4)生活活動指針を用いた介入調査を行い、生活活動指針の効果の検証を行うものである。 平成27年度は、夜勤16時間から13時間短縮の変則勤務体制へ移行予定の施設に従事する看護師18名を対象とし、同一対象者における2タイプの状況を比較した。なお対象施設は、夜勤短縮に向けた試行期間であるため、看護師は2タイプを同時期に経験できる状況であった。2タイプの勤務時間の間隔および順序は、対象者の事情に応じて問わないこととした。測定機器は、身体活動計を用い、主観的疲労度は「自覚症しらべ」、作業効率、休日の過ごし方は生活活動調査表に記載を求めた。調査時期は平成26年11月~平成27年1月、調査期間は日勤2日間、夜勤、休日、計6~7日であった。その結果、自覚症しらべで夜勤16時間が13時間より疲労感が高かった(p=n.s)。夜勤以外においても有意差はなかった。休日の過ごし方は、夜勤16時間が13時間より睡眠、家事、会話などの時間を確保していたが、一方食事、休息、レジャーの時間は13時間の方が確保できていた(p=n.s)。特に仕事は、夜勤13時間で平均63分、夜勤16時間で平均8.9分と休日に仕事にかける時間が多いことがわかった(p<0.05)。作業効率などの指標において勤務時間短縮による違いはなかった。したがって、夜勤短縮による変化は短期間では捉えにくく、夜勤短縮による残業を休日の時間で補完している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初「16時間から13時間短縮の変則勤務体制への移行に伴う疲労度の推移の解明」の調査期間は、平成27年度に予定していたが、施設の都合により移行期間が変更となった。そのため、調査時期が平成26年11月~平成27年1月と平成26年度内となった。対象者数は、平成24年度調査対象者との比較を予定していたが、勤務交代などの事情で同一対象者の確保が困難であったため、30名予定から18名となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の計画では、夜勤時間の違いによる変化を明らかにするため、同一病棟で二交代制と三交代制を看護師の選択制で実施している施設を対象として、現在調査中である。勤務体制の違いによる疲労回復に向けた生活パターンについて解析予定である。平成27年度は、休日の生活活動タイプ別による分析を行い、睡眠志向タイプが疲労度を低く維持しやすい、夜勤前の睡眠時間を確保している方が疲労度が低いことを報告した(第35回 日本看護科学学会)。このように生活活動タイプによる分類、夜勤前の生活活動の有用性が明らかになったため、現在の調査項目に夜勤前の生活活動調査を含めている。平成28年度は、二交代制と三交代制による夜勤時間の違いによる疲労度の比較、勤務体制による休日の過ごし方の比較、生活タイプ別の比較、夜勤前の過ごし方の比較によって、疲労回復に影響する要因を分析予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年~平成28年4月にかけて、夜勤時間の違いによる変化を明らかにするため、同一病棟で二交代制と三交代制を看護師の選択制で実施している施設を対象として、現在調査中である。そのため、対象者への謝金の支払いが調査終了後の平成28年4月(謝金金額:90000円)となり、残金が生じたと考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年4月に、夜勤時間の違いによる変化を明らかにするため、同一病棟で二交代制と三交代制を看護師の選択制で実施している施設を対象45名に謝礼を支払う。5月~7月には、身体活動量解析結果を考慮して、欠損値のある対象者に再検査の依頼を行う。8月以降には、データ解析、解析時に専門家より指導を受けることで謝礼が予定される。解析結果をもとに対象者への聞き取りを行うため、謝金および交通費の支出が予定される。
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Research Products
(3 results)