2014 Fiscal Year Research-status Report
多発性硬化症患者に対する認知行動療法の導入およびアウトカム評価
Project/Area Number |
26463306
|
Research Institution | Sapporo City University |
Principal Investigator |
菊地 ひろみ 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (80433134)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 多発性硬化症 / 認知行動療法 / 個別療法 / 集団療法 / 質的評価 / ランダム化比較試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)患者に対する非薬物介入として認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy:CBT)プログラムを作成・実施し、患者の生活の質(Quality of life:QOL)に対するCBTのアウトカムを評価することである。諸外国ではすでにMS患者に対してCBTが導入されているが、本邦ではうつ病や気分障害等の精神科領域において適応されているものの、MS患者に対するCBT導入の報告はない。そこで、平成26年度は、以下の2点を実施し、成果を得た。 1.MS患者のCBTに関する文献を網羅的に収集し、海外での導入状況および実施方法、効果について把握した。MEDLINE、CINAHL、PsycINFOの2000年から2014年を対象年限とし、'Multiple Sclerosis'‘Cognitive Behavioral Therapy’をKey wordsをとして検索した35編の英文論文のSystematic Reviewを行った。MS患者に対するCBTは、カナダ、アメリカ、イギリス等において行われており、個別療法のみならず集団療法、電話使用、インターネット使用、コンピュータプログラムなどの実践例が報告されていた。研究デザインはMS患者数例を対象にした小規模介入研究から100名を超えるランダム化比較試験まで様々であった。効果検証は半構造化インタビューによる質的評価、うつ評価スケール、QOL評価スケールなどにより行われ、複数の論文で効果が検証されていた。 2.精神科領域で行われているCBT研修会に参加し、プログラム作成および実践に必要な情報を収集すると共に、スーパーバイズを受ける準備を行った。 以上より、MS患者へのCBT実施のプロトコル案を作成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した当該年度の到達目標については概ね達成している。若干の遅れとしては、以下が挙げられる。 1.当該年度に作成したCBT導入プロトコルについて、神経内科専門医および臨床心理専門家のスーパーバイズを受けて精錬させる必要がある。 2.平成27年度に実施予定のパイロットスタディの実施に向けた医療機関との調整等が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は神経内科専門医および臨床心理専門家のスーパーバイズを受けて精錬させたCBT導入プロトコルを用いてパイロットスタディを実施する予定である。すでに研究関係のある医療機関の協力を得て、数名の対象者にCBTを実施し、その評価によりCBTプログラムおよび導入プロトコルを精錬する。対象者は、申請者とネットワークをもつ難病患者会等にも協力を求め、対象者の時間的負担を考慮した謝礼を準備するなどする。当該年度のCBT研修会での人的ネットワークをもとに、スーパーバイズを受けられる体制を作る
|
Causes of Carryover |
研究補助者への謝金に不足が生じて私費を充てた結果、若干の残余額が生じた
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額の1667円は不足する事務用品の購入に使用する計画である
|
Research Products
(1 results)