2014 Fiscal Year Research-status Report
透析患者の「かゆみ」に関する新しい看護診断(定義・診断指標・関連因子)の開発
Project/Area Number |
26463332
|
Research Institution | Kansai University of Nursing and Health |
Principal Investigator |
神谷 千鶴 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (80361236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江川 隆子 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (40193990)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | かゆみ / 看護診断 / 掻痒感 / 透析 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
概念分析のための文献レビューを行った。かゆみ(掻痒感)についての文献は和雑誌で77件、英文ではCINAHLで36件、PubMedでは数万件を超えたため、透析患者のかゆみに限定して検索を行ったところ、「pruritus dialysis」で586件、「itch dialysis」602件であった(重複を含む)。この中から、「かゆみ(掻痒感)」の概念分析に必要と思われる文献を選び出し、共同研究者と抄読会を行った。文献のレビューによる抄読会では、「“かゆみ(掻痒感)”は身体的症状であり、疼痛などと同様にその人の主観によるものであるため客観的測定が難しい概念であること」や「主観的な症状であるため、評価が曖昧であり、比較研究が難しいこと」「概念分析において、評価の方法の検討が必要であること」が見出された。 概念を明らかにする上では、わが国では「かゆみ(掻痒感)」だけであるが、英文では「pruritus」と「itch」を使い分けている。ウォーカーとアーヴァントの方法に基づき,分析をするうえで、概念の源流を調査する必要があるが、文献の入手には至っていない。言語学者あるいは哲学分野の専門家から助言をもらい、概念の明確化に努めていきたい。 一方で、我々の先行研究で行っている透析患者の掻痒感に対する縦断研究では、透析患者に対する薬物療法が進んできており、掻痒感が緩和している現状もみられる。また、我々のデータからは、掻痒感に影響する因子の多くは、透析効率や透析液などの透析条件に帰するものが多く、患者の日常生活行動や環境といった看護が独自にかかわれるものの影響はあまり多くないという結果がでてきている。 今後は、先行研究の縦断的臨床データの解析を同時に進めながら、共同研究者とともに概念分析の文献抄読会を引き続き行っていきたいと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概念分析についての文献検討が進んでいない。共同研究者との抄読会は3回しか実施できず、分析が進んでいないため。 また、元となる先行研究のデータ分析に時間を要しているため、概念分析にとりかかれなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
概念分析については、文献の抄読会を進めていく。また、言葉の概念に関する専門家からの助言を得るために、専門家の協力を得て「かゆみ」という概念を明確にしていく予定である。合わせて、臨床の協力者に透析患者のかゆみの実態を聴きながら、臨床との齟齬が内容に配慮していく。
|
Causes of Carryover |
概念分析は進んでいないため、当初の計画のデルファイ研究が行えていない。そのための調査用紙作成などに伴う消耗品の購入・印刷依頼などの分が余剰となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
概念分析を進めていくうえで、翻訳料ならびに継続課題であるデルファイ研究に伴う調査費用、消耗品の購入に使用する。
|