2014 Fiscal Year Research-status Report
在宅高次脳機能障害者と家族に対する生活支援プログラムの開発と検証
Project/Area Number |
26463334
|
Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
高山 望 北海道科学大学, 保健医療学部, 講師 (50451399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 裕子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336409)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | リハビリテーション看護学 / 高次脳機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.目的:在宅高次脳機能障害者と家族に対する生活支援プログラムを複数名に実施して、生活支援プログラムを構築することを目的とする。 2.これまでの研究成果:研究対象者7組に対して、生活支援プログラムを実施した。Zarit介護負担尺度とQOLの状態の変化では、両者とも改善がみられたが、QOLのみ介入1ヶ月後に後退した。また、当事者の認知機能と生活能力の変化では、MMSEに変化はみられなかったが、タッチエムには改善がみられた。生活能力では、運動、視覚、記憶機能に変化がみられたが、聴覚機能に変化はみられなかった。さらに、主介護者からみた当事者のTBI-31の行動変化においては、すべての事例において行動特性に変化が生じた。 3.在宅高次脳機能障害者と家族に対する生活支援プログラムの構築 1)参加者:基本的にすべての回に家族員一人、当事者に一組となり参加していただく。例外は、個人面談のみ指定日の参加が難しい場合のみ、再度日程調整をする。 2)内容:開催日程は隔週1回、計8回として約4ヶ月間介入する。内容は、「個人セッション」、「集団セッション」、「教育プログラム」を組み合わせた生活支援プログラムを提供する。これは、専門看護師を中心として神経心理学専門医、言語聴覚士、作業療法士の協力を得て提供する。プログラムの前提として、家族は当事者を支える支援者であり、家族の安心や健康を維持することで、当事者への支援体制という環境が整えられると想定している。また、本研究における当事者・家族の目標は、A)神経心理学的欠損の特徴を理解することができる、B)神経心理学的欠損による生活上の問題に関して「自己への気づき」を体験ができる、C)代償手段の獲得ができる、以上3つを立案した。これらの内容で生活支援プログラムを構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.目的:H26年度研究目的である「在宅高次脳機能障害者と家族に対する生活支援プログラム」の構築ができた。現在H27年度研究目的である、在宅高次脳機能障害者と家族に対する生活支援プログラムを一つの介入群に対して、事前事後実験デザイン(準実験)を用いて実施し、その効果を検証している。 2.理由:研究協力施設として、本研究に全面的に協力してくださる団体施設がおり、参加者の取り込みや研究実施場所の提供など、調整作業がスムーズであった。そのため、当初の研究計画よりもプロセス上、進展がみられた。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.研究の全体計画:介入研究は、すでに3クール目の途中まで進展しており、対象者数10組家族12名の参加をいただいており、目標数まで達成している。今後は、データの解析、考察、論文化の研究プロセスを進める。 研究分担者は、同じ研究機関に所属しており、長く脳神経看護に従事し研究を実施しているスペシャリストであり、本研究の学術的、実践的サポートが得られる。 また、本介入研究の研究協力者として、普段から高次脳機能障害者への医療に携わる医療専門職者(神経心理学専門医1名、言語聴覚士3名、作業療法士1名)にプログラムの実施サポートに参画している。さらに、研究協力者のメンバーには、H地区の高次脳機能障害支援ネットワークのメンバーでもあり、研究協力体制、普及体制を整えている。
|
Causes of Carryover |
当初の計画よりも進展があったため、平成26年度の介入プログラムの開始を早めることができた。このことにより、教育プログラム講師謝金3.3万円、waisⅢ成人知能検査実施に対する謝金2万円、参加者に対する謝礼図書カード6.5万円、個人セッションの内容逐語録作成26.4万円、会場費8万円で合計46.2万円の予算を必要とするため、前倒し請求した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、生活支援プログラムの検証のため、症例数を確保する。1シリーズの介入群は当事者・家族3~4組程度で、3~4シリーズ合計9~16組は展開することを予定とする。平成28年度は、介入プログラムの再検証であり、症例を重ね、介入前後の量的比較を行うことで、プログラムの有効性、安全性、普及性、技能向上、公益性を検証することで、研究目的の達成を目指す。
|