2016 Fiscal Year Research-status Report
緩和ケア病棟に入院するがん末期認知症患者の実態と、症状マネジメントの特徴
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26463354
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
北川 公子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (30224950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症患者 / 緩和ケア病棟 / がん患者 |
Outline of Annual Research Achievements |
緩和ケア病棟における、認知症併存がん患者に対する看護の困難と症状マネジメントについて把握することを目的に、全国の緩和ケア病棟330ヵ所を対象に質問紙調査を行った。期間は平成27年12月から平成28年3月である。調査に先立って依頼状を送付し、「看護師を回答者とした質問紙調査への協力の可否」について回答と、協力可の場合は協力予定人数を返送してもらい、予定人数分の質問紙を送付する方法で行った。協力可の返信は61の緩和ケア病棟(18.5%)、予定協力者数は766件であった。今年度はその分析を行った。 実際の返信は305人であり、調査時点で所属病棟に認知症併存がん患者が「入院している」のは239人(78.4%)、「以前入院していた」62人(20.3%)、「以前も今も入院していない・無回答」4人(1.3%)であった。 次に、小野寺らが作成した「看護師のがん看護に対する困難尺度」(6区分計48項目を、“全くそう思わない”~“非常にそう思う”の6件法)を、認知症のないがん患者、認知症併存がん患者それぞれを想定した場合で回答を求め、2群間の比較を行った(t検定)。その結果、「コミュニケーションに関すること」13項目中2項目、「自らの知識・技能に関すること」9項目中8項目、「医師の治療や対応に関すること」14項目全て、「告知・病状説明に関すること」6項目全て、「システム・地域連携に関すること」8項目全て、「看取りに関すること」5項目中2項目において有意差を認めた。そのうち、認知症併存がん患者を想定した場合に平均値が低かった項目は「転移や予後など悪い知らせを伝えられた後の患者への対応が難しい」のみであった。 以上から、緩和ケア病棟において、コミュニケーションやケア、連携の全般にわたって認知症併存がん患者に対する看護の困難度が高い可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度に、緩和ケア病棟を利用した認知症併存がん患者の家族を対象に、看護に対する満足度や課題に関する調査を行う予定であったが、本務多忙につき、実施ができなかった。本来3年の研究計画であったが、1年の延長を申請し、承認を受けた。延長した平成29年に家族調査を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度には、家族調査を実施するとともに、報告書の作成と論文投稿を行う。家族調査は、機縁法にて認知症併存がん患者の介護家族10名程度をリクルートし、インタビュー調査を行う。
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Causes of Carryover |
本務多忙につき、当初、予定していた家族調査を実施できなかったため、その分、残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
認知症併存がん患者家族10名程度へのインタビューを行い、その際の旅費(10万円)、テープ起こし(8万円)、論文投稿の際の英文校正(10万円)、報告書印刷(5万円)、文献(8万円)、消耗品(5万円)を使用計画とする。
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