2017 Fiscal Year Annual Research Report
Palliative management of patients with comorbid dementia and cancer
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26463354
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
北川 公子 共立女子大学, 看護学部, 教授 (30224950)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知症併存がん患者 / 緩和ケア / 症状マネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
緩和ケア病棟において、認知症併存がん患者に対する看護の困難ならびに、症状マネジメントについて把握することを目的に、緩和ケア病棟で働く看護職を対象に質問紙調査を行った。期間は平成27年12月から平成28年3月であり、返信のあった305名中、認知症併存がん患者が現在入院中、もしくは以前入院していた病棟に所属する301名からの回答を分析対象とした。 認知症併存がん患者の症状マネジメントの難易性について、55.1%が「認知症併存がん患者の方が難しい」と回答し、「一般のがん患者の方が難しい」の2.7%を大きく上回ったが、34.9%は「両方とも同じ」と回答した。認知症併存がん患者に症状マネジメントがより困難である理由は、症状の有無、性質、部位、強さ、治療の効果などを正確に評価できないことであった。 さらに、認知症併存がん患者の症状の観察に対して行っている工夫を自由記載で尋ねたところ、「疼痛」と「転倒」に関する記載が最も多かった。「疼痛」の観察上の工夫点は、訴えのみに頼らず、表情や動作、感情の変化、睡眠や食事など日常生活の状態、家族からの情報、レスキュードーズ使用後の変化など、「転倒」に対しては、観察方法の記載は少なく、センサーマット等の使用、観察しやすい病室への変更などが挙げられていた。さらに、認知症併存がん患者の症状マネジメントに苦慮した経験についても、やはり「疼痛」と「転倒」の記載が最も多かった。「疼痛」では、他の症状との区別がつきにくいことや、言動の易変性、薬物治療の効果を判断しにくいなど、「転倒」では、観察補助のために設置したセンサーマット等を自分で外す、飛び越えるなどの思いがけない行動に対する苦慮が多く挙げられていた。 以上から、認知症併存がん患者の症状マネジメントには、がん緩和ケアと認知症ケアの知見の融合の必要性が示唆された。
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