2015 Fiscal Year Research-status Report
がん医療におけるコミュニケーション教育プログラムの開発と評価
Project/Area Number |
26463357
|
Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
金子 眞理子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (50318151)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 朝生 国立研究開発法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (10466196)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | サイコオンコロジー / がん看護 / コミュニケーション / 意思決定支援 / コンサルテーション / リエゾン精神医学 / 緩和ケア / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ.目的:研究①サイコオンコロジー領域における看護師の精神・心理面とコミュニケーションに関する現任教育プログラムを開発し評価することである。研究②相談支援センターの役割や機能を整理し、相談支援センターがもつ支援プログラムとその効果を理論化した調査票を開発し、その実施可能性を確認することである。 Ⅱ.方法:研究①プログラムの作成・内容と実施、評価について:これまでの先行研究をもとに、がん患者の精神、心理面,意思決定支援に関するアセスメントと対応に関する5時間の教育プログラムを作成した。対象者はインターネットの応募を通じて研究に同意が得られた28名であった。受講前、直後、3か月後に知識と対応の変化についての自記式質問紙を実施しFRIDMAN検定を用い知識、自己効力感の変化を測定した。研究②全国規模で403施設に相談支援センターの意思決定支援に関して現状調査を送付し260施設より590通の回答を得た。 Ⅲ.結果と考察:研究①プログラムの教育効果について精神面4項目、心理面5項目、看護師のストレスマネジメントで直後、3か月後とも知識と患者対応への自己効力感の上昇が有意に継続し、現任教育における有効性が示された。一方、意思決定支援については意思決定支援の知識については1%水準で効果が認められたが、対応については有意差が認められなかった。これらのことから、本プログラムの有効性が示唆されたが、意思決定支援の対応については事例検討等、様々な個別性をふまえた教育のあり方について検討する必要性が示唆された。 研究②意思決定支援を行う前提の問題との関係について、告知が十分になされていない条件での支援で困難さが高い(95.3%)一方、告知後の反応への対応(68.6%)、他者から圧力をうけることなく意思決定をしているかの判断(63.9%)疾病に対する情報提供(61%)については、困難さは概して低かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は教育プログラムの実施と評価を行い、プログラム内容がある程度焦点化されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究①倫理的意思決定支援の対応については、事例を用いたグループワークなどを行い、様々な観点からアセスメントや対応を検討できる学習方法の工夫が必要であるため、28年度はこれらの点を修正する。さらに、がん医療における精神面のアセスメントとコミュニケーションに関する指導者用プログラムを開発し、実施、評価する。 研究②本調査の解析を進め、意思決定支援の構成要素に基づいた状況の整理を予定している。今後は、本構成要件に基づき、特にニーズが大きいと想定されるアセスメントについての教育、あるいは特殊な場面での対応方法の整理等を進め、相談員の質の向上と負担感の軽減に資する教育プログラムの開発につなげる予定である。
|
Causes of Carryover |
当初、データ収集時の資料準備や解析等に人件費をあてていたが、本プログラムの参加対象者が少なかったため、最小限度の人件費でまかなわれたこと、旅費等では宿泊施設等の節約を行い、予算よりも大幅に経費が少なくて済んだため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は教育プログラムを1日から2日に修正し、秋にデータ収集ができるように計画を遂行する。最終年度であるため、効率的に研究計画を遂行し、研究成果を公表できるようにすすめる予定である。
|