2016 Fiscal Year Research-status Report
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26463406
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
田淵 紀子 金沢大学, 保健学系, 教授 (70163657)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳児 / 泣き / 育児支援 / 母親 / プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳児を育児中の母親に対する育児支援プログラムの構築を目指している。とくに母親が育児を困難に感じる要因の一つである児の泣きに着目している。これまでの我々の研究成果をもとに、母親が児の泣きに対して困難に感じる時期と泣きの見極めができるようになる時期をわかりやすく示したリーフレットを作成した。このリーフレットによる介入をした群と対照群で継時的に母親の育児困難感や情動反応について比較することで、介入プログラムの効果を検証することを目的としている。本研究の成果は、育児困難感を示す母親への支援に役立つことが期待される。 本年度は、研究協力に同意の得られた2施設をそれぞれ、介入群と対照群とし、調査データを継続的に収集した。調査時期は、妊娠中、出産後早期(出産による入院中)、産後1ヶ月、産後7~8ヶ月の4時期である。詳細な分析はこれからであるが、妊娠中のデータと産後1ヶ月時のデータの中から、妊婦の不安傾向とストレス対処能力と出産後の児の泣きに対する困難感との関連を分析した結果を、第31回日本助産学会学術集会(徳島)にて発表した。妊娠中の不安傾向とストレス対処能力については、不安尺度 State-Trait Anxiety Inventory-Form JYZ(以下、STAI)と13項目短縮版SOCスケール日本語版(以下、SOC)を用いた。出産後の児の泣きに対する困難感は、泣きに対する困難感尺度(田淵他,2005年)を用いた。分析対象の妊婦は79名(妊娠23週~39週、平均34.7±3.7週)であり、妊婦のストレス対処能力、妊婦の状態不安ならびに特性不安と1ヶ月時の児の泣きに対する困難感に相関がみられた。すなわち、妊娠時の状態不安、特性不安が高いほど、泣きに対する困難感が高く、妊娠時のストレス対処能力が高いほど、児の泣きに対する困難感の程度は低かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集は、昨年度から引き続き、妊娠中、分娩による入院中、産後1ヶ月、産後7~8ヶ月の4時期に行うことができた。介入群は、当初の予定より少なく31事例であった。対照群は48事例であった。介入群の施設の特徴により、正常経過の妊婦をこれ以上収集することができないと判断した。経過を追うごとに脱落しないように、特に介入群において、留意し最大限のデータ数を確保できたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集は終了しており、データ分析を進める予定である。介入群と対照群の母親の困難感の程度を比較することで、プログラム介入による効果を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度も連携研究者、研究協力者が育児休暇の取得や、所属分野の教員の退職等によりマンパワー不足状態が改善されず、調査に要する謝金の経費が予定額より使用されなかったこと、ならびに研究成果は学会発表したものの、論文投稿に至っておらず、その分の経費を持ち越すことにしたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、最終年度であり、収集したデータの分析を進めるにあたり、データ入力等の謝金、ならびに論文作成、投稿費用にあてるとともに、成果発表のための旅費に充てるものとする。
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