2014 Fiscal Year Research-status Report
血液透析を受ける認知症高齢者の主観的経験-標準的看護方法構築に向けて-
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26463457
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
高山 成子 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (30163322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 美香 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (10382384)
渡辺 陽子(半田陽子) 県立広島大学, 保健福祉学部, 助教 (20364119)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血液透析 / 認知症 / 抜針事故 / 透析室 / 透析看護認定看護師 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究全体の目的は、血液透析を受ける認知症高齢者の看護方法の構築で3段階の調査で構成されている。今年度は第1段階「血液透析の認知症高齢者の看護している透析看護認定看護師の経験」を明らかにする調査を実施した。協力者は透析看護認定看護師10名(男3名・女7名)、平均年齢44.4歳であった。「透析室で認知症高齢者にどのように困ったか」などインタビューし、逐語録を老年看護専門看護師、認知症認定看護師、透析看護認定看護師、透析室臨床看護師の複数の視点で質的帰納的に分析した結果、5つの大カテゴリ-により、下記の認知症高齢者の透析看護師の困難の全体像が示された。 透析看護師は、透析を受ける認知症高齢者を看護するなかで【後半に突然に起こる多様な行動から抜針に至る恐怖】を強く感じ、【周囲を巻き込む興奮行動への困惑と対応の困難】から【認知症ゆえに起こる透析中の困難の繰り返しとケアから逃れられない高ストレス】を感じていた。そして、透析-透析間の「認知症ゆえに生じる(患者の)生活管理の問題に対応しきれないことへの苦慮】が透析看護を解決の糸口のない問題にさせていると捉えていた。が、このような多くの困難のなかで、透析看護師は【透析中の認知症高齢者の立場に立った柔軟な対応】を必死で行っていた。5つの大カテゴリーにおいて、他4つのカテゴリーと関連が強く、最も頻繁に見られた【後半に突然に起こる多様な行動から抜針に至る恐怖】を中核カテゴリーと位置づけた。 この結果から、認知症高齢者の抜針事故の重大性が、看護師の深刻な困難の中心であること、透析の特定の時間に問題が生じやすいこと、透析室の特殊な環境と透析前の生活管理の不十分さが透析看護をより困難にさせていることが明らかで、看護方法構築の貴重な資料となった。また、次年度2段階めの「(認知症高齢者の立場に立った)認知症高齢者の主観的経験」調査の重要な資料となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
理由1.第1段階調査の「「血液透析の認知症高齢者の看護を経験している透析看護認定 看護師の経験」を明らかにする調査は、予定通り透析看護認定看護師10名に実施できたが分析において、予定以上に老年看護専門看護師、透析看護認定看護師の協力を得て分析検討会議を2回実施でき、非常に信頼性の高い分析結果が得られた。また、予定以上に、血液透析の認知症高齢者の看護師の経験と大腿骨転子部骨折で牽引を受ける認知症高齢者の看護師の経験を比較することができ、認知症高齢者の抜針事故に対する恐怖が看護師の困難・高ストレスなどの中心であることがより明確になった。 理由2.公表について、予定通り腎不全看護学会で発表した。さらに、血液透析看護師と大腿骨転子部骨折の牽引をケアする看護師の比較は、国際アルツハイマー学会(パース)で発表することができた(平成27年4月)。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、計画予定以上に研究計画が進んでいる。既に、2段階目の調査場所の倫理審査も承認を得ており、今後、研究計画通りに、5月、6月予備調査結果をもとに参加観察方法の検討、8月岐阜県と石川県の2病院における参加観察調査の実施を推進して行く予定である。
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Causes of Carryover |
購入備品予定のコンピューターが予定より安価に購入でき、16万円の残額が生じた。また、調査病院予定7病院を石川県と岐阜病院に限定したために依頼の為の旅費費用に残額が生じた。 但し、今年度の分担者の費用が少なすぎた結果に基づき、次年度の調査者の旅費および検討会議旅費の捻出のために残額を必要とした点もある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の費用が予定より減額されたため、調査者(分担者)の大津(弘前-石川)、渡辺(広島-石川)の調査費用、会議費用が不足する予定である。 ゆえに、平成27年度は各分担者の分担金を増やして、旅費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)