2014 Fiscal Year Research-status Report
難治てんかん患者の地域包括的支援ネットワークの確立と展開
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26463485
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
吉岡 伸一 鳥取大学, 医学部, 教授 (00191544)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | てんかん / 地域包括支援 / 訪問看護 / 訪問介護 / 難治例 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療機関に受診している難治てんかん患者の実態を把握するため、山陰地区(鳥取・島根両県)の医師会員2511名を対象にてんかん診療の実態及び医師からの訪問看護あるいは訪問介護サービスの指示について、両県医師会長から研究承諾を受け、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承諾を得た後、質問紙調査を実施した。 641名の会員から調査票の回答が得られた(回収率25.5%)。そのうち医師になってからてんかん患者を診察したことがある医師は、542名(84.6%)であった。また、現在、主治医としててんかん診療を行っている医師は238名(37.1%)で、医院・診療所に勤務する内科医の割合が最も多かった。定期的に血液・尿・生化学検査、薬物血中濃度検査、脳波検査、画像検査を実施している医師は、それぞれ50.4%、50.4%、18.5%、5.0%であった。てんかんを診療している医師のうち、てんかん患者の医療制度などに関する診断書等を作成したことのある者は106名(44.5%)で、また、発作が抑制されない難治てんかん患者をてんかん専門医に相談・紹介したことがある者は、150名(63.0%)であった。さらに、訪問看護あるいは訪問介護サービスを受けているてんかん患者の診療を行っている医師は、それぞれ12.6%、16.4%で、また、難治てんかん患者が地域生活を送るための訪問看護や訪問介護サービスをもっと活用する必要があると思う医師は、263名(41.0%)で最も多かったが、施設の情報を地域内で共有・発信する必要があると思う医師も202名(31.5%)であった。 今年度の調査から、地域のてんかん診療の主な担い手は、てんかん専門医より非専門医の内科医の役割が大きいことが改めて明らかとなった。また、訪問看護や訪問介護サービスなどを活用を望む医師が多いが、地域内での情報共有・発信が少なく、今後の課題が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
山陰地区の医療機関に勤務する医師会会員を対象の調査から、てんかん患者の診療実態と訪問看護及び訪問介護の概略を知ることができ、当初の計画通りに進行している。また、てんかん患者に対する訪問看護及び訪問介護の現状についての課題も明らかにすることができた。 今回の調査から、訪問看護事業所に向けた調査票を作成する必要があるが、調査票の内容について、十分な検討がなされていない状態にある。当初の計画通りに進めるため、早急に調査票を作成する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
訪問看護事業所及び訪問介護事業所におけるてんかん患者のサービスの実態を明らかにするため、初年度の調査結果を分析し、調査票を作成する。その後、鳥取・島根両県内の訪問看護及び訪問介護の事業所を管理する責任者に研究協力の承諾を得る予定である。研究協力の承諾が得られた後、鳥取大学医学部倫理審査委員会の承諾を得た後、速やかに調査を開始する。 初年度で得られた研究成果を報告書としてまとめ、国内外の学会で成果を発表し、また、論文作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
医師会会員向けの調査票の回収率が配布数に比べて低かった結果、郵送代に掛かる費用が低くなり、また、回収率が低かったため、データ入力のための要員を必要としなくなり、次年度使用額が生じる結果となった。さらに、調査票の回収が年度末まで延びたため、結果をまとめ、報告書の作成ができなかったため、次年度の使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通り、初年度の調査結果をまとめ、報告書作成に使用する予定である。また、訪問看護事業所や訪問介護事業所の調査対象が増える予定のため、次年度に予定している郵送代に加え、調査票の配布・回収のための郵送代に使用する予定である。また、次年度の学会参加費や研究打ち合わせのため、使用する予定である。
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