2015 Fiscal Year Research-status Report
地域住民と専門職による「看取りのケアの縁側づくり」の協働型アクションリサーチ
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26463508
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大金 ひろみ 杏林大学, 保健学部, 准教授 (60305696)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 看護学 / 看取り / 協働 / アクションリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
看取りのケアの縁側づくりのアクションとして、地域住民と訪問看護師によるワークショップを行い、以下の3点の気づきを確認した。1) 地域での看取りのためには、当事者(患者・家族)になる前の段階での専門職と素人である地域住民との出会いが鍵になること、2) 地域での看取りの観点から地域包括ケアに必要な点として、専門職の日常的なつながりが基盤にあり、専門職が一住民となって地域の活動に関わること、3) その地域に共有されている固有の文化に在宅ケアも含まれること。これらの結果を具体化するためのアクションプランとして、「利用者側と専門職との協働による『家での看取りを行う専門職育成プログラム(案)』」を作成する必要性が見出された。 また、素人である地域住民の看取り経験から得た気づきを共有するワークショップでは、当事者となったときに抱える困難として、終末期における医療についての医療従事者とのコミュニケーション、本人を含む家族内の看取りについての意思確認や意思決定などがあり、近隣者の看取り経験からの気づきや学びを共有する「草の根の縁側づくり」の必要性が見出された。 これまでの研究成果の一部は、アジア太平洋ホスピスカンファレンス(2015年4月30日~5月3日、台湾)で発表した。内容は、地域住民である素人と専門職による在宅ホスピス緩和ケアについての本音のディスカッションによる気づきが、地域住民が抱く看取りについての思い(feeling of reality)にもたらされた変化についてである。「一人」から「支えてくれる人々の姿が見える」ようになり、「自宅での看取り」という選択の可能性を考えられるようになること、このことから病気になる前から在宅ホスピスケアの専門職と看取りについて本音でディスカッションを行うことで、地域住民は前向きかつ具体的に看取りについて考えられるようになるとの示唆が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) 地域住民による交流活動とのコラボレーションについて、研究者の参加が難しい状況が続いているため。今年度は、定期的な交流会への参加だけでなく、交流会を主催するコアメンバーへのインタビュー等から、在宅緩和ケアや住み慣れた場所での看取りへのニーズを探っていく予定である。 2) 地域住民、専門職とのワークショップについては、ほぼ予定通りに開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究活動から見出された課題として、1) 「利用者側と専門職との協働による『家での看取りを行う専門職育成プログラム(案)』」の作成、2) 地域住民の看取り経験からの気づきや学びを共有する「草の根の縁側づくり」についての検討が挙げられる。 1) については、既存の在宅ホスピス緩和ケアの専門職育成プログラムを収集すること、本研究からの成果を踏まえた既存プログラムの検討等を行っていく。 2) については、地域住民の交流活動とのコラボレーションにおいて、在宅緩和ケアや住み慣れた場所での看取りへのニーズを探る中で、看取り経験からの気づきや学びの共有がどのようになされているかについて把握をしていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
予定していた計画の一部が実施できなかったため、これに伴う費用が計上されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度のアクションプラン実施において使用する。
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