2016 Fiscal Year Research-status Report
感情調節困難患者を対象とした弁証法的行動療法スキル訓練のプロトコル開発と有用性
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26463509
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
小谷野 康子 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (50307120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 真理子 武蔵野大学, 看護学部, 准教授 (50336492)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 弁証法的行動療法 / 感情調節困難 / マインドフルネス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の実施計画は、改訂版弁証法的行動療法(DBT)マニュアルを参考にして日本の実情にあわせたプロトコルを作成し完成を目指すことであった。またDBTスキル訓練の効果分析について質的に継続比較分析を実施することとした。 実施手順については、スキル訓練のコアとなるマインドフルネスについてマニュアルやDBT研修などから得た様々な内容をプログラム参加者に提供して検討を加えた。スキル訓練の質的効果分析については、4例目を重ねることができ、スキル訓練による激しい感情の自覚とスキルの治療的活用は、プログラムから自分の目標達成に役立つ内容を取り入れることで、対人関係を改善させて回復の実感をもたらしたことが明らかになった。 研究者は本年度、DBTの治療戦略である「承認」についての研修に参加し情報の収集に努めた。スキル訓練提供者と患者との関係もまた弁証法的な考えに基づいている。回復を導くにはプログラム提供者の承認的な態度が鍵になるため、これらは実施者用テキストに含める必要がある。 DBTは、個人療法と4主要スキル訓練、24時間電話コーチングとチームコンサルテーションミーティングが揃って包括的なDBTである。スキル訓練に焦点を当てた介入の有用性が明らかになれば、非包括的な方法として日本でも導入が容易となり感情調節困難な患者が回復への支援を受けやすくなる。今年度は、継続比較分析による研究成果を学会で発表し、また学会交流集会でDBTスキルアップトレーニングを実施している病院の臨床心理士や作業療法士と共に非包括的な方法でのDBTの研究エビデンスや実践例の紹介を企画し、多職種と連携してDBTスキル訓練の提供が可能であること等を学会を通じて発信することが出来た。 最終年度の平成29年度は、インタビューデータを増やして更に内容妥当性を高めてプロトコルの完成を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
弁証法的スキル訓練の提供には時間を要する。また申請者の異動に伴いデータ収集に時間を要することが考えられる。研究期間を延ばすことにより数例のインタビュー対象者を増やすことが可能となるため期間延長する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、プロトコルを完成させる。今後のDBTスキル訓練教育ツール開発に向けた資料となるよう手順書を整えたい。
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Causes of Carryover |
研究期間を1年延長することで、スキル訓練受講者に次年度インタビューを実施し、サンプルを増やすことが可能となるため、それらのデータ整理・分析の費用とする。 また統合された分析結果の成果発表の費用としたい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データのテープ起こし、分析結果の学会発表のための費用、英訳、患者用テキスト、実施者用手順作成と印刷に経費を使用する予定である。
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