2014 Fiscal Year Research-status Report
自死遺族が自死遺族支援グループに参加することによる効果
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26463530
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
櫻井 信人 関西国際大学, 保健医療学部, 講師 (40405056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自死遺族支援 / 自死遺族のつどい / 自助グループ / 自殺対策 / ポストベンション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は自死遺族支援を実践しながら、自死遺族が自死遺族のつどいに参加することによる効果を検証し、自死遺族へのより効果的なケアを見出していくことを目的としている。平成26年度は研究者が上越地域において立ち上げた自死遺族のつどい「はじめの会」の活動を継続し、延べ39名の参加があった。9月には「自死遺族のつどいを運営するために必要な要素」というテーマで日本自殺予防学会にて学会発表し、【行政との連携】、【予算の確保】、【開催する場所の確保】、【継続的な広報活動】、【スタッフの確保】、【スタッフの育成】、【スタッフ間の信頼関係の維持】、【振り返りの実施】、【スタッフのモチベーションの維持】、【できる範囲での支援】、【研修会の開催】、【他機関とのネットワーク構築】、【アドバイザーの存在】、【運営するつどいの信頼性維持】、【安心して語ることのできる雰囲気づくり】、【参加者のニーズの存在】の16の要素が自死遺族のつどいを運営するために必要な要素であることを発表した。 ここで抽出された結果を踏まえ平成26年度は、行政との連携に関して、市との連携を依頼し、公的機関の支援という安心感から運営するつどいの信頼性維持に繋がった。また開催する場所の確保や研修会の開催についても、市との連携により可能となった。自死遺族のつどいは現在も継続的に運営しており、評価修正を繰り返しながら現在に至っている。行政と連携後の自死遺族支援に関して、スタッフ間の議論で出されたつどいの効果や課題を本年の自殺予防学会で発表予定である。今後は自死遺族のつどいの参加者にインタビューを実施し、自死遺族のつどいに参加することによる効果を検証していく予定である。平成26年度はインタビューに向けての対象者の選定や対象者との関係性の構築も実施し、平成27年度のインタビュー実施を実現するための土台作りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自死遺族のつどいの運営等に関しては計画通り進んでおり、評価修正を繰り返しながら自死遺族支援を実践している。つどいの開催においてはその都度スタッフ間で議論を重ねて効果や課題を検証している。今後の自死遺族を対象としたインタビュー実施に向け、対象者の選定や時間をかけた関係性の構築も実施しているが、インタビュー対象者をさらに増やしていくことが課題となっている。対象者を増やすために他県の自死遺族のつどいともネットワークを構築しながら、インタビューの依頼を実施していくことを計画している。平成26年度の計画の一つにあった兵庫県における自死遺族支援については、フィールドワークを行い、兵庫県の実態や自死遺族支援の必要性などを検討継続中であり、どのような形が実践可能なのかを議論している。
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Strategy for Future Research Activity |
自死遺族のつどい「はじめの会」は継続して運営し、実践を通じて評価修正を行いながら、自死遺族支援の課題を見出していく。平成27年度は自死遺族のつどいに継続して参加する自死遺族を対象にインタビューの実施を計画しており、自死遺族のつどい「はじめの会」の参加者や他県の自死遺族のつどいの参加者にインタビュー協力の依頼を行っていく。インタビューでは、対象者の背景、参加するようになったきっかけ、参加することで良かったこと、生活面や気持ちの上での変化、参加することによる負担や悪かったことなどを語ってもらう。得られたデータは逐語録にし、自死遺族のつどいに参加することによる効果や変化をまとめていく。分析の際は、自死遺族のつどいに参加することによる効果や利点だけでなく、マイナス面や負担の部分も明らかにし、対策まで検討していきたい。平成28年度は得られた結果を自死遺族のつどいに反映させ、評価を行う。最終的なまとめはインターネットや会報で全国の自死遺族のつどいに発信していく。
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Causes of Carryover |
現在所属している大学に異動して一年目であり、学内業務に時間を費やす一方で研究の比重が少なくなった。他県の自死遺族のつどいとのネットワーク構築や打ち合わせのための旅費の使用について、当初予定していた回数を実施できなかったため、平成27年度以降に実施していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は自死遺族を対象としたインタビューを計画しているが、実施に当たっては対象者と数回顔合わせをし、関係性を築いておく必要がある。次年度に繰り越した額は、ネットワークの構築やインタビューガイド作成のための打ち合わせでの旅費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)