2016 Fiscal Year Research-status Report
自死遺族が自死遺族支援グループに参加することによる効果
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26463530
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
櫻井 信人 関西国際大学, 保健医療学部, 准教授 (40405056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自死遺族支援 / 自死遺族のつどい / 自助グループ / 自殺対策 / ポストベンション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自死遺族が自死遺族のつどいへの参加を通して、どのような効果があるのかを明らかとし、効果的な自死遺族のつどいの勧め方やケア内容を検討することを目的としている。調査方法として、自死遺族のつどいを運営し、参加者へのケアを実践しながら、同意を得た自死遺族に対しインタビューを行ない、自死遺族のつどいに参加することによる効果を検討している。平成28年度は研究者が運営する自死遺族のつどいに延べ41名の参加があった。本研究ではインタビュー対象者の選定や協力を得ることに難しさがあるが、インタビューは現在までに6件が終了した。 現在までのまとめとして、自死遺族は同じ自死遺族の体験を強く求めていることが明らかとなった。それは同じ体験をした者同士の気持ちの共有だけでなく、どのように苦しみを乗り越えて日常生活に復帰しているのかと言う回復や視点も含まれた。また話すことができない中で話せる安心感や、外に出ることができるきっかけ、一人ではないという孤独感の軽減、不安なときに頼れる安心感などの効果が見られた。 一方で、参加者の中には年数が経過してから参加される方もおり、その場合は他者の経験を知りたいと言う目的ではなく、自身の振り返りや亡くなった方との思い出を振り返るといった目的もあり、自死遺族のつどいは亡くなった方の死を乗り越えて自身の成長を進めるといった効果も見られた。現在、新たにインタビュー協力者が見つかったため、期間を一年延長し、さらにデータ収集を重ね、自死遺族のつどいに参加することによる効果をまとめていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は自死という性質上、対象者の選定に難しさがあるが、現在までに6件のインタビューが終了した。当初は3年の計画であったが、今回新たにインタビュー協力していただける対象者が見つかったため研究期間を一年延長し、インタビューを実施してデータを増やしていく予定である。自死遺族のつどいは引き続き運営を継続し、行政や他機関とのネットワークを活かしながら自死遺族のケアを実践し、自殺対策に貢献していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は自死遺族のつどいの運営を実施しながら、地域の自殺対策に貢献していく。新規の参加者や継続的な参加者、亡くなった方との関係や亡くなってからの時間など参加者の背景に合わせて、個別面談やグループといった進め方の検討、アンケートの振り返り、運営方法の検討をスタッフ間で行い課題を見出していく。 自死遺族へのインタビュー調査は、現在までに分析しまとめたものに加え、さらにデータ収集をし、文献等を交えながら自死遺族が自死遺族のつどいに参加することによる効果をまとめていく。
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Causes of Carryover |
本研究を実施中にこれまで予定していた対象者に加え、新たなインタビュー調査対象者の協力が得られたため、研究期間を一年延長し、追加でデータを取得することにしました。そのために使用額を変更し次年度に繰り越しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自死遺族のつどいの運営とインタビュー調査の旅費や対象者への謝礼及び逐語録の作成で使用予定である。
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