2014 Fiscal Year Research-status Report
精神障害者の就労継続における同僚との関わりのプロセス
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26463541
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
妹尾 弘子(松本弘子) 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (90289968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 絵美 東京工科大学, 医療保健学部, 助手 (90613282)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精神障害者 / 就労継続 / 対人関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、就労後の精神障害者の対人関係に焦点をあて、どのような困難があるのか、またどのような対策を講じることで就労継続につながるのかを明らかにすることである。今年度の研究目的は、その中でも特に精神障害者を雇用する事業者および同僚等が精神障害者と関わる中で、お互いの距離の取り方にどのような困難を感じ、距離の取り方を獲得したのかについて明らかにすることであった。 今年度はまず精神障害者の就労に関する文献検討を行った。精神障害者の就労に関する文献は多く、就労および就労継続する上で対人関係が重要であることが述べられている。実践報告や事例等から、精神障害者の就労継続を困難にする対人関係上の問題は、当事者側としては「無理してしまい、誤解を受ける」「差別を受ける」「病気をクローズにしていたが、わかってしまい解雇される」「雑談に加わることができない」「過去のことを聞かれ返答に困る」などが挙げられ、雇用者側としては「仕事が遅い」「すぐに休む」「精神障害のわかりにくさ」などが挙げられていた。しかしそれらの報告は実践レベルでの報告がほとんどであり、その詳細および体系的に就労継続における対人関係上の困難を明らかにしているものはほとんどみられなかった。 さらに文献検討の結果を踏まえ、精神障害者の就労に関わる関係者3名とディスカッションを行った。ディスカッションの中で、就職と退職を繰り返しながら、就労継続に至る例が少なくなく、またその契機が対人関係であることが多いこと、精神障害者であることを開示するか非開示かによって、就労継続に影響がでることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究目的では、事業者や同僚へのインタビューを行う予定であったが、実際には文献検討および3名の就労関係者とのディスカッションにとどまった。それゆえ、研究の達成度としてはやや遅れていると考える。 その理由としては実際のインタビュー前に文献検討をより詳細に行う必要があったために、そこに時間を費やしたことである。また今回の文献検討の結果を踏まえ、就労関係者とのディスカッションを加え、今後の研究の方向性を検討したことも理由としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は平成26年度の研究目的であった、事業者や同僚へのインタビューを行う。平成26年度は10名、平成27年度も10名の予定であるため、次年度は可能な範囲で対象者数を確保するよう努力する。 対象者の選定は、これまで関わりのある精神障害者に関連した施設や団体に紹介を依頼する予定であった。しかし今年度の文献検討でみられた事例を提供している会社および、厚労省が認証している精神障害者等雇用優良企業等も含めて選定する予定である。
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Causes of Carryover |
インタビューを行わなかったため、それに伴う謝金とテープ起こし代等が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究目的にそってインタビューを行い、それらに伴う研究費を使用する。内訳は、録音機器、テープ起こし代金、謝金、インタビュー時の旅費、学会参加費等である。インタビューは当初平成26年度と平成27年度の2年間で予定していた20名を目標に行う。
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