2017 Fiscal Year Research-status Report
地域住民と大学、看護学生による、がん患者と家族を地域で支えるシステムの構築
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26463549
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
岡本 理恵 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50303285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
表 志津子 金沢大学, 保健学系, 教授 (10320904)
市森 明恵 金沢大学, 保健学系, 助教 (80507369)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん患者 / がんサバイバーシップ / がん教育 / コミュニティー |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度はH28年度に実施した調査の分析を深め、第6回日本公衆衛生看護学会学術集会での発表を行った。因子間の調整等の詳細な分析を行った結果、主要な結果は次の通りである。有効回答は1392部(28.2%)であった。家族や身内にがんになった者がいる割合は全体の82%であり、がんが一般住民にとって大変身近な疾患であることが明らかとなった。がん未経験者は、がんになった際の治療方針を医師と相談するとしていたが、一方、がん経験者は医師に一任した者が有意に多かった。年齢や性別を考慮しても同様の結果が得られたことから、インフォームドコンセント等の概念は一般に浸透しているものの、医療現場においては患者自身の意思決定はまだまだ困難な状態であることが示唆された。また、がん未経験者は、経験者よりがんを怖いと思う、がんになると生活における楽しみは減ると答えたものが有意に多い結果をを示しており、年齢別に行った分析でも同様の結果が得られた。がん未経験者はがんに対し否定的なイメージを持っており、このことががんに罹患した時に、実際の身体的侵襲以上に精神的なストレスや不安を抱える要因になっていることが考えられた。このことよりがんの正しい理解を目的としたがん教育の必要性が示唆された。現在はこの内容について論文執筆を進めるとともに、この結果を元にした住民学習会の準備を行い、地域住民に対する学習会開催のためのがん患者支援団体への協力依頼を実施し了承を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
住民への意識調査を研究期間4年間のうちの3年目に実施したため、その後の遅れが生じている。H29年度は収集データの分析とその結果の一部を公衆衛生看護学会学術集会にて発表した。現在は論文の執筆の準備を行っており、このことと平行して、地域住民に対する学習会開催のためのがん患者支援団体への協力依頼を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
調査内容の分析を一通り終え、その内容を元に地域住民を対象としたがんに対する学習会を企画し、自主的取り組みへの支援を行う予定である。学習会の受け皿となるがん患者支援団体とは調整ができており、今後実施計画を詳細に検討し実施する予定である。看護学生の参加をどう効果的に推進するかにおいて、学内外での調整が必要となっている。
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Causes of Carryover |
本研究ではがん患者と家族を地域で支えるシステムの構築を目的としている。研究進捗状況の遅延により、地域住民に対する質問紙調査は実施できているが、その結果を元にした地域住民を対象とした学習会と自主的活動を目的とした活動支援はできておらず、次年度に持ち越しとなっている。次年度使用額はその学習会運営のための講師謝金や活動経過の質的分析、論文執筆に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)