2015 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝と小胞体ストレスをつなぐCREBHの非アルコール性脂肪肝発症における役割
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26500001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 和人 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (30455935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 嘉 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 准教授 (80361351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 遺伝子発現 / 非アルコール性脂肪肝 |
Outline of Annual Research Achievements |
CREBHは肝臓と小腸に発現する転写因子であり、栄養代謝に関与することが今までの研究で明らかとなっている。本研究ではCREBHの非アルコール性脂肪肝に与える影響について解析を行っている。肝臓と小腸にCREBHは発現することから組織特的にCREBHを欠損するマウスをCRISPR/Cas9 systemを用いて作成した。肝臓特異的CREBH欠損(CREBH LKO)マウスを非常に短期間で作成することができた。このマウスは絶食時に高トリグリセライド・高コレステロール血症を呈し、その際、肝臓では脂肪酸酸化遺伝子の発現低下、LPL活性を上昇させるアポリポタンパクの発現低下、コレステロール合成系遺伝子の上昇があり、これら変化が血中脂質の上昇を引き起こしたと考えられた。さらに、このマウスにメチオニン・コリン欠損(MCD)食を負荷したところ、著しい肝障害を示した。肝臓組織標本から明らかなマクロファージの浸潤、組織構造の崩壊、繊維化が観察された。遺伝子発現解析では炎症、繊維化のマーカー遺伝子の発現が有意に上昇しており、この変化が肝障害に結びついていると想定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
組織特異的なCREBH欠損マウスの作成が予定よりも早く作成でき、CREBHの欠損が非アルコール性脂肪肝を引き起こす結果が得られている。今後は分子メカニズムにどれだけ踏み込めるかが課題になる。すでに本年度の成果は論文に投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
予定以上に研究は進んでいる。今後はCREBH欠損による病態形成に関わる分子の特定が必要となる。CREBHはPPARaとの相互作用がある。そのPPARaも非アルコール性脂肪肝との関わりが明らかとなっている。CREBH KOマウスにPPARaアゴニストを投与し、病態の改善があるかを検討する。PPARa依存的、非依存的な効果が存在するのかが明らかにできる。また、CREBHと相互作用しうる転写因子を検索し、転写因子間の相互作用から病態形成の謎を解く予定である。
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Research Products
(1 results)