2016 Fiscal Year Annual Research Report
Novel mechanisms for unabosorbable food factors with anti-life style-related deseases activities
Project/Area Number |
26500003
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三浦 豊 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10219595)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 難吸収性食品因子 / スフィンゴミエリン / アスパラチン / エキソソーム / 腸管透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスフィンゴミエリンとアスパラチンを用い、腸管から吸収されにくい機能性食品因子がどのようなメカニズムでその生理作用を発揮しているかを明らかにすることも目的とした。そこで、これらの食品因子が腸管において作用を示している可能性を検討し、前年度までにスフィンゴミエリンがCaco-2細胞の細胞間透過性を亢進すること、アスパラチンがそれを低下させることを見出した。またスフィンゴミエリンを経口投与した際の血中エキソソームが炎症抑制作用、筋肉細胞へのグルコース取り込みを促進することを見出した。最終年度にはそれらの検討をさらに進めて以下の成果を得た。すなわち、腸管細胞に対する作用に関しては、スフィンゴミエリンの細胞間透過性亢進作用は細胞毒性によるものではなく、可逆的な作用であること、ミセルを介した細胞内輸送には影響しないこと、スフィンゴミエリンを経口投与することで腸管からのグルコース取り込みが一過性に上昇することを見出した。またスフィンゴミエリンを経口投与した際の血中エキソソームの構成タンパク質を質量分析により解析したところ、血清蛋白質の混入が確認されたので、精製法を見直し、検討を進めたところ、血中エキソソームが筋芽細胞の増殖を促進する作用を有すること、食事性のスフィンゴミエリンはその作用を亢進することを新たに見出した。アスパラチンについては、スフィンゴミエリンの作用を利用したアスパラチン吸収性の改善の可能性について検討したところ、アスパラチンの吸収率が非常に低く、スフィンゴミエリンの影響を観察するには至らなかった。 以上の結果は、難吸収性の食品因子であるスフィンゴミエリンが腸管で作用を発揮する可能性、また血中エキソソームを介してその作用を発揮している可能性を示すものであり、機能性食品研究に新たな知見を与えるものと考えられる。
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