2015 Fiscal Year Research-status Report
宇宙放射線に対する効果的な遮蔽材料と被ばく線量評価手法の確立
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26506032
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
永松 愛子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 有人宇宙技術部門, 主幹開発員 (00421868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
俵 裕子 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, その他部局等, 研究員 (30188453) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宇宙放射線 / 遮蔽材料 / 線量計測 / 被ばく線量 / 被ばく管理 / PHITS / 宇宙飛行士 / 有人惑星探査 |
Outline of Annual Research Achievements |
月や火星などの地磁気圏外は、ISS(地球低軌道)よりもはるかに過酷な宇宙放射線環境であり、「宇宙放射線(陽子、重粒子線等) による被ばく」が最も大きな人体リスクと識別されている。将来有人探査計画の被ばく管理を見据え、宇宙放射線による被ばく線量を低減することを目指し、放射線防護ための要素技術として「遮蔽材料付加によるパッシブ遮蔽」を研究課題とした。研究計画として、4つのステップ(①国際宇宙ステーション船内の長期定点エリアモニタリング結果に基づく、被ばく線量シミュレーションコードの構築、②遮蔽材料基礎データの取得と物性評価、③宇宙実験による遮蔽材料評価の検討、④将来有人探査に向けた「遮蔽防護」に関する宇宙実験計画および国際協力体制の構築)を設定。 ①は、平成26年度に実施済。②は、「きぼう」の平均遮蔽厚を持つ仮想宇宙船の計算体 系をA. 地磁気圏内、B. 地磁気圏外、C. 月面に構築し、様々な種類の遮蔽材料(鉛、鉄、アルミニウム、月面土壌コンクリート、月面土壌ゲルマット、ポリエチレン、水、メチルシクロヘキサン、液体水素)の厚さ(1~30g/cm2)を変えて内壁に付加し、シミュレーションにより遮蔽効果を評価。「きぼう」アルミ船壁と付加遮蔽材料の厚さを変えながら、宇宙放射線のエネルギーを模擬した陽子加速器による照射実験を行い、遮蔽効果のシミュレーション評価値と実測値の比較評価実験を行った。 ③は、アルミの船壁厚を変えた8種類のケースに封入した線量計を曝露部に設置し、国 際宇宙ステーション「きぼう」よりも薄い船壁の領域での軌道上での線量評価実験「Free-Space PADLES」の実測解析中。国際宇宙ステーション実測値および地上照射試験結果、シミュレーションによる評価値を組み合わせることで、地磁気圏外のもっとも効率的な遮蔽材料と厚さについて、実効線量の低減から評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の実施にあたり、①-④のステップ(3年間、平成26-28年度)を計画した。 ①「宇宙放射線被ばくシミュレーションモデル」の実測結果に基づく構築【平成26年度】 ② 遮蔽材料の基礎データの取得と組み合わせ物性評価【平成26、27年度】 ③ ISS搭載用遮蔽球体構造の設計検討と宇宙実験による遮蔽効果の定量評価検討【平成26、27年度】⇒ 国際宇宙ステーション曝露部におけるアルミの船壁厚を変えた8種類のケースを搭載したFree-Space PADLES実験に変更。平成27年度に軌道上実験実施済。 ④ISSにおける宇宙実験計画の立案と国際協力検討の構築【平成27年度】 当初の研究計画通り、ステップ②、③を宇宙実験によるデータ活用を含めて実施を進めており、これらの研究進捗状況およびプレリミナルな成果(国際学会5件、査読論文1件)を下記の通り発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
PHITSコードと「きぼう」の平均遮蔽厚を持つ仮想宇宙船の計算体系を用いて、A. 地磁気圏内、B. 地磁気圏外、C. 月面の宇宙飛行士の被ばく線量を評価した。遮蔽効果の高い材料(ポリエチレン、月面土壌コンクリート、月面土壌ゲルマット)の遮蔽厚さを変えて、宇宙放射線のエネルギーを模擬した陽子(230MeV/n、160MeV/n、70MeV/n)による照射実験を行い、評価値と実測値の一致を確認した。平成27年度の成果は、以下の通り。 (1)A.地磁気圏内、B. 地磁気圏外、C. 月面の宇宙放射線環境の評価(物理量:LET分布、吸収線量、線量当量、防護量:実効線量)のデータセットを整備。「きぼう」相当の遮蔽厚を持つ船壁と遮蔽材料を用いて、「フレアを除いた」太陽粒子線および銀河宇宙線による940日間の火星ミッションにおける実効線量は、国際宇宙ステーション搭乗宇宙飛行士の生涯実効線量制限値(フライト経験無の場合)に抑えられる見込み。地磁気圏外環境では、ポリエチレン15cmを付加すると、遮蔽効果は22%。きぼう直径・船壁厚の球体モジュールにポリエチレンを15cmを一様に付加すると、約6トンの重量追加が必要。 平成28年度は、宇宙放射線に対する効果的な遮蔽材料と被ばく線量評価手法について、実効線量の低減について、以下の項目から結論付ける。 (2)国際宇宙ステーション曝露部に設置したアルミ船壁厚を変えた線量計測実験結果を用い、船内計測実験と組み合わせた、国際宇宙ステーションでの船壁の遮蔽効果評価。 宇宙ステーション「きぼう」よりも薄い船壁の領域での軌道上での線量評価。 (3)過去の6回の太陽フレアワーストケース(1956年2月、1960年11月、1972年8月、1989年10月、2003年10月、2005年6月)をシミュレーション評価への導入により、パッシブ遮蔽で実現可能な遮蔽効果を評価。
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Causes of Carryover |
物品費、その他の残額の合計である。研究ステップ③の宇宙実験サンプルの製作が既存の物品を使って実施することができ、また回収時期が6か月ほど遅れ、アルゴリズムの追加が未実施であり、これらの残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の旅費よび物品費として使用する。
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Remarks |
宇宙航空研究開発機構 ISS宇宙放射線環境計測データベース http://iss.jaxa.jp/spacerad/
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] 太陽高エネルギー陽子イベントによる宇宙線被ばく2015
Author(s)
片岡龍峰,久保勇樹,塩田大幸,八代誠司,桑原孝夫,永松愛子,保田浩志, 仁井田浩二,岩元洋介, 橋本慎太郎, 小川達彦, 古田琢哉, 安部晋一郎, 甲斐健師, 松田規宏, 岩瀬広
Organizer
第10回宇宙天気ユーザーズフォーラム
Place of Presentation
東京、国立研究開発法人情報通信研究機構
Year and Date
2015-07-17
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