2017 Fiscal Year Annual Research Report
Regional revitalization and multicultural coexistence in disaster-stricken area: Inquiry on possibility of inheritance of "Paradise Built in Hell"
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26510015
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
郭 基煥 東北学院大学, 経済学部, 教授 (10551781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曹 慶鎬 立教大学, 社会学部, 教育研究コーディネーター (20762892)
兪 キョン蘭 東北大学, 教育学研究科, 博士研究員 (00802133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 震災 / 共生 / 外国人 / 災害ユートピア / 流言 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要な目的は被災地に暮らす外国出身者の震災後の状況、またその「復興期」の情況をトータルに把握することである。2014年度から2015年度までは主に、被災当時、外国出身者と日本人住民がその生活世界において相互扶助の関係にあったことを聞き取り調査を元に明らかにした。それはソルニットが言うところの「災害時ユートピア」の一環として考えることができる。 ついで、2016年度には震災後に広範に広がった「外国人による犯罪」の流言について調査を行った。調査目的は主に、①その流言は日本人の一般市民の間でどの程度、広がり、どの程度、信じられたか、②信じるか信じないかという態度の差は何に規定されているのか、③流言が広がったのはなぜか、という点である。アンケートは、仙台市と東京新宿区に在住する日本国籍者を対象に行った。アンケートの結果については、東北学院大学のウェブページに公開してある。また河北新報、中日新聞、毎日新聞、朝日新聞、NHKなど諸々のメディアを通して紹介された。2017年度以降は、研究成果を論文として、「震災後の『外国人犯罪』の流言」(震災学10号)などで公表した。 アンケートから得られた主要な知見は、次の通りである。つまり、「外国人が犯罪をしている」という流言について、①仙台市で過半数、新宿で4割の人が聞いており、両地域でそれを聞いた人のうちの8割以上の人が信じていた。②それを信じるか信じないかという態度の差は地域や性別、収入、職業などとほとんど無関係である。③流言は当時、日本人を美化する言説が広範に広がっていたことと関係がある。流言は外国人に「汚名」を着せることで、日本人の美化言説を維持する機能を果たすことで、拡散したと考えられる。 被災地の国を超えた相互扶助の現実とは乖離した流言が広範に広がった現実を考えれば、外国人犯罪の流言に対する対策を早急に講じるべきだといえる。
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Research Products
(2 results)