2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26510020
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
吉野 馨子 (谷垣馨子) 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (70448918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三陸漁村 / 地域住民 / 他出家族 / 磯根資源 / 高齢化 / 街並み / 入会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、雄勝町大須地区において地区住民及び他出家族に対する2つのアンケートを実施した。地区住民アンケートは全世帯及び高校生以上の地区住民を対象に行い89世帯(配布数147世帯、回収率61%)、162人より回答を得た。アンケート結果の概要は以下の通りであった。高齢化のために漁業に携わる住民が減り、共同的な資源管理を求める声が高かった。高齢単身、高齢夫婦の世帯が3分の2近くを占め、町民バスや地域での買い物の場(地元の商店や移動販売)が重要な役割を果たしていたが、緊急時の移動などについて不安が挙げられていた。このように交通や社会福祉サービスでの不自由さを感じる一方で、地区の自然や恵み、伝統や地域社会は高く評価されていた。空き家の増加、集落の空洞化への不安があり、街並みの保存への関心が高かった。地区の今後については、磯根資源利用におけるさらなる協同による海の恵みの地域への還元、高齢世帯への支援、皆が楽しめる活動、地域の恵みを生かした取り組み(直売所等)などへの関心が挙げられた。 他出家族のアンケートでは126名(配布数393人、回収率32%)からの回答を得、主な回答は以下の通りであった。地元での経験の中で何か好きなことがある人が大半で、海で泳ぐことやあわびやウニの採取が記憶に強く残っている人が多かった。故郷に対しては、豊かさと不便さの双方が感じられていた。車で1時間ほどの距離に居住する人が多く、浜に残る親を日常的なケアをしている人も多かった。将来的には、浜に戻ってくるというよりは、二地域居住的な形を検討している人が多かった。 これらの結果は、地区役員に報告するとともに、地区の全世帯及び協力いただいた他出家族にリーフレットの形にわかりやすくとりまとめ、配布した。 さらに、高い関心が寄せられた街並み保存について専門の研究者らとともに街並みのサーベイを行い、その歴史的価値の高さが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大きなパートであったアンケートを3年度目に実施することができた。協力いただいた方々への文書による結果の報告も終えている。また、三陸漁村の各浜へのインタビュー記録等をまとめた中間報告書を作成した。あと残された1年間で本アンケートの結果を地域に還元し、さらに深めていくことにより、実践に結び付く研究成果が出せていけるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
アンケート結果を地域での取り組みに生かしたいという声が地域住民のなかから挙がってきている。空き家問題、磯根資源のアンダーユースの問題、高齢化の問題等、他の分野の研究者とも連携しながら、具体的な課題に沿った調査を深くおこなっていくとともに、これまでの調査の報告会、地区住民との勉強会等を通し、地区の人たちと現状を共有し、課題への方策を検討していく。
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Remarks |
現在頁を構築中。6月中に公開予定。
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Research Products
(4 results)