2015 Fiscal Year Research-status Report
規制緩和後の公共交通の安全確保政策に関する実証研究
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26512003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷 知治 東京大学, 公共政策学連携研究部, 客員研究員 (20533699)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 安全文化 / 安全風土 / リスクマネジメント / 組織風土 / 運輸事業 / 安全マネジメント / 企業風土測定 / 保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、運輸安全マネジメント制度に基づく監査結果のデータベースを参照し、参与観察的に把握・整理することを予定していたが、直接アクセスできる環境ではなくなったため、国土交通省に対する聞き取り調査を中心に把握・整理を行った。具体的には運輸安全マネジメント制度の対象となる事業者の把握、対象事業者の目標の設定状況及びその内容、経営トップから組織末端までの情報共有・コミュニケーションの手法、ヒヤリハットや事故情報の収集その他安全管理の取り組み事例を収集し、事業者の優良取組事例を抽出した。また、ホームページで公開されている運輸事業者の安全情報を収集・把握、整理を行った。 第二に、経営トップから現場まで企業風土の醸成について、上記の優良事例の他、他業種における事例について比較検討を行った。さらに既存の安全に関する企業風土測定手法を活用したアンケート調査に基づき、経営トップと現場の意識のギャップの把握及び改善手法について、一般的な手法の整理分析を踏まえ、運輸事業者における動向を把握・整理した。その際には、自動車、鉄道、海運、航空といったモードごとの比較分析を含め、検討を進めた。 第三に、安全が阻害された場合に備えてのリスクマネジメントの一つとして保険制度に着目し、海運分野を事例に整理を行った。具体的には海運にかかる保険について、付保の範囲、免責事項、航路定限、その他リスク分担の具体的内容を整理し、政策的活用方策の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一に運輸安全マネジメントを実施している事業者についての整理分析を行い、優良取り組み事例を収集できた。第二に運輸安全に取り組んでいる事業者について安全風土の特徴の観点から整理することができた。第三に、こうした安全対策がうまくいかなかった場合に備えてのリスクマネジメントの事例研究も進めることができたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。、
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第一に、事故やヒヤリハット情報等のデータの収集・分析方策を整理・検討を行う。第二に、事業者の安全達成目標・検証のための方策について、検討を行う。特に上信越道スキーバス事故が発生したことに鑑み、依然として、事業者には安全風土が根付いていない現状に対応して、効率的な監督、事業者の安全管理活動の推進や民間規格等民間による安全管理方策を含め、事業者にいかに安全対策を浸透させるか検討を行い、事業者の安全対策の実効性が確保されることを目指す。
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Causes of Carryover |
研究に対する助言について、都内近郊の有識者が中心となったことから、旅費を使用せずに済んだこと等により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は研究のまとめの年となる一方、上信越道スキーバス事故も発生し、貸し切り事業者の実態把握も必要となることから、バス等を中心とした文献収集および企業内部の安全文化の定着やコンプライアンス意識を隅々まで行き渡らせる方策を民間規格を中心に他業種も含め、また浸透手法も勘案しながら、書籍、文献等により収集するため、関連の資料収集等を行うとともに、検討結果の助言をいただきつつ、作業を進める。
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Research Products
(1 results)