2015 Fiscal Year Annual Research Report
レーザースペックルを用いた視覚復号型秘密分散暗号法の開発研究
Project/Area Number |
26540054
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
鵜野 克宏 茨城大学, 工学部, 准教授 (10280710)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視覚復号型秘密分散法 / 視覚復号型暗号法 / スペックル / ランダムグリッド |
Outline of Annual Research Achievements |
一つの画像を二つ以上の複数の媒体にランダムに分散したものをシェアという。シェア単体では意味を持たず、すべてのシェアを重ねることによってのみ情報が復元される暗号化法を視覚復号型秘密分散法、または視覚復号型暗号法という。この方法では、計算機等の演算なしに、ランダムな情報から秘密画像を再生することができるが、透明な記録媒体が必要であることと、画像の大きさに合わせた媒体が必要であることが問題であった。 本研究は、粗面からのレーザー散乱光に現れるスペックルを鍵として、画像を復元する新しい方法の実証研究である。この方法は、透明な媒体が不要、大きなランダム画像が不要、複製が極めて困難、等の利点がある。 平成26年度では、紙にレーザー光を照射し、高コントラストのスペックルを発生させ、それを2値化したランダムグリッドからシェアを作成した。その際、一律に同じ閾値を使うのではなく、画像の小部分毎に異なる閾値で2値化した。その結果、埋め込まれた画像が認識できないシェアを作成することに成功した。 平成27年度では、計算機上でシェアとスペックルパターンの積を計算した。その結果、元の画像を復元することに成功した。しかし、シェアに直接スペックルを照射した場合には成功しなかった。その理由は、スペックル照明光には光の振幅に加え、位相の情報も含まれていることが原因と考えられる。 今後は、スペックルパターンの位相分布まで含めてシェアを作成することを計画している。まず、回折場を利用した位相推定法を用いて、スペックルの位相分布をスペックルパターンから推定する。そして、位相分布を含めた透過率の計算によりシェアを作成し、スペックルの直接照射による画像の復元を試みる。この方式により、シェアを透過した光を強めることが可能となり、復元画像のコントラストが向上する効果が期待できる。
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