2014 Fiscal Year Research-status Report
一体化構造を有する空電ハイブリッドダイレクトドライブ直動アクチュエータの開発
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26540134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仲田 佳弘 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (80720664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 智之 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 専任研究員 (30588661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 空電ハイブリッドアクチュエータ / ダイレクトドライブ / 力制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,空気圧による力と電磁気力の両方を動力源とする小型直動アクチュエータの開発と制御に関するものである。空気の圧力と電磁相互作用を出力軸へ伝達する要素と空間を一体化することで,バックドライバブルでありながらも,空気圧による高出力,電磁気力による高精度の位置決めが可能で,力制御が実現できる. 今年度は,「空電ハイブリッドの要素と空間を一体化する」というコンセプトの構造の一次試作を完了した.この試作構造により実験的に動作原理の実現性の検証に成功しただけでなく,有限要素法を用いた電磁気のシミュレーションによって磁気回路構造を最適化するなど,シミュレーションと連動した最適化を行った.さらに,一次試作は市販の空気圧シリンダの部品を活かした設計としている.この試作が成功したということは,空圧メーカーの既存の部品製造ラインが利用できることを示唆しており,短期的な実用化へ近づいたといえる. アクチュエータの発生力を計測するため,小型のロードセルとリニアレールを用いた計測装置を作製した.計測の結果,空圧・電磁アクチュエータの各要素がともに駆動に充分な力を発生できることを確認した. 早期に試作と動作の確認を行えたことで,得られた成果を国際会議のワークショップで発表することができた.また,会場での議論に加え,発表後に関連する分野の研究者から問い合わせがあるなど,今後の研究・開発にとって重要な情報を得ることができた.試作の課程で明らかとなった加工や組み立てにおける課題と解決策を検討することができ,これらの知見によって提案構造の特許を補強し出願した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は,一体化構造を有する空電ハイブリッド直動アクチュエータの試作機を作製し,空気の圧力と電磁力の両方で可動子を駆動できることを確認することにより,提案する一体化構造が実現可能であることを示すことであった.単純に空気圧シリンダとリニア電磁アクチュエータを組み合わせて試作を行うのではなく,ハイブリッドアクチュエータ内の磁気回路構造の最適化,材料の選定を行ったことにより,一次試作の段階で,一体化構造を持つ直動アクチュエータがハイブリッドアクチュエータとして動作することが確認できた.順調に試作を行えたことにより,早期に,成果を国際会議のワークショップで報告でき,関連する分野の研究者と議論を行うことができた.また,この成果は,特許の出願に繋がった.さらに,試作の課程で明らかとなった課題とその解決方法から特許の内容を精査でき,国内優先権制度を利用した特許内容の補強を行うことができた.上記の成果は,当初の計画以上の進展であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には,開発した試作機を駆動するための,位置・力制御システムを開発する.そのため,空圧およびモータの制御装置を購入する.状況に応じて,空気の圧力と電磁気力の使用量を調整し,高効率駆動が行える手法を検討する.ハイブリッドアクチュエータでは,駆動時に空気の圧力と電磁気力が相互に影響(クロスエフェクト)を与えることにより性能が低下することがあるため,試作機を用いた実験により,クロスエフェクトの影響を評価する. また,本研究で開発する空電ハイブリッドアクチュエータは,提案する一体化構造の採用による小型化だけでなく,ハイブリッドアクチュエータでありながら既存の空圧機器と同様の使用感を実現することを目標としている.そのため,電磁アクチュエータ要素を駆動する小型のモータドライバの設計および試作を行う.さらに,モータドライバだけでなく,力制御用のマイコン,位置センサ基板も一体化し,アクチュエータ上に実装できるサイズにまで小型化を行い,開発した基板で実機を駆動する性能評価実験を行う. 得られた成果を国際会議にて発表し,関連分野の研究者との議論を通じて課題を明らかにし,試作機の改良に活かすとともに,最終的には,成果を学術論文としてまとめ,海外の論文誌に論文を投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
開発する空電ハイブリッド直動アクチュエータでは,位置,力制御に可動子位置の情報を利用するため,アクチュエータに搭載したセンサを用いて可動子位置を高解像度に測定できることが,効率の良い制御にとって重要となる.アクチュエータの可動子位置を計測するため,当初はレーザ変位計の購入を予定していたが,本計測器よりも小型で安価な光学式のエンコーダが見つかったため,そちらを購入した.そのため,平成26年度の研究費に未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には,平成26年度に用いたものよりも,さらに高解像度の光学式エンコーダおよびエンコーダ素子を実装する基板を購入し,試作機に実装して性能を評価する.また,光学式のエンコーダはスリットの入った反射板とセットで用いるため,反射板を購入する.
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Design of an Integrated Pneumatic-Electromagnetic Hybrid Linear Actuator2014
Author(s)
Yoshihiro Nakata, Tomoyuki Noda, Jun Morimoto, and Hiroshi Ishiguro
Organizer
International Conference on Intelligent Robotics and Systems (IROS 2014), Workshop: From Active Impedance to Intrinsically Compliant and Variable Impedance Actuators: Pros, Cons and Trade-offs
Place of Presentation
Palmer House a Hilton Hotel (Chicago, IL, USA)
Year and Date
2014-09-14
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