2014 Fiscal Year Research-status Report
小離島と中山間地域における在宅終末期ケアの比較~沖縄と島根~
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26560024
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
阿川 啓子 島根県立大学, 看護学部, 助教 (20709381)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在宅終末期ケア / 中山間 / 小離島 / 医療過疎地域 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、中山間の過疎地域における高齢者の在宅終末期ケアシステムを構築することである。 平成26年度は、島根県の中山間地域の高齢者の終末期療養場所や医療資源の現状把握をすることと、比較する沖縄県八重山郡竹富町波照間での現地調査および中山間地域と離島地域を比較した文献レビューをおこなった。さらに、平成27年度の準備として、地域住民を支える専門職を対象とした在宅看取りの講演会の開催やファシリテーターの養成講習会の参加なども実施した。 沖縄の離島(波照間島)で働く看護師は、療養者が島外での入院治療をしている時期に積極的に島から本土の病院に向けた医療連携を行っていた。その看護活動が島外での治療を終了し、産まれ育った島での在宅看取りに繋がっているという実践報告があった。さらに、地域住民全体で島にある資源を活用した在宅終末期ケアを可能にする環境づくりの構築がなされていた。 中山間の過疎地域と離島における高齢者の在宅終末期療養生活の現状が記載されている文献を検討し学会発表をした。対象文献については、医学中央雑誌Web版を用いて、1994年以降に発表された国内の文献(原著論文)を「在宅」「ターミナル」「看取り」「終末期」「中山間」「離島」「島嶼」のキーワードで検索した。さらに、この中から高齢者の終末期療養生活に関する文献を抽出した。中山間と離島の共通点と相違点を明らかにすることは、在宅終末期ケアを可能にしている現状を検討することにつながった。在宅での「看取り」の文献レビューの結果より、共通点としては専門職が先導となり限られた資源を活用した共助・扶助機能の支援をおこない、自助機能の向上ができる地域環境を構築していた。相違点には、離島・島嶼地域では、島にある人的・物的資源の活用で島全体で看取るという意識の強さが示唆された。それには、天候などの自然環境で孤立するという環境が影響していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3年計画で本研究を終えることを想定して、1年目に行う内容に加えて、平成27年度予定していた多職種連携の実践者の集いなどの場の提供や意見交換を円滑に行える準備等を計画的かつ着実に実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、中山間地域で看取りを体験した事例における多職種連携看護実践を明らかにすることを目的としている。 現在、島根県での調査候補地が複数ある。地域包括ケアシステムの構築を見据えて現状分析ができる地域を選定し看取り体験の質的帰納的な研究を実践し多職種連携の中での看護職の役割りを明確にしようと計画している。 また、過疎地域での在宅療養生活は家族の協力なしでは実現困難である。今年度は、在宅終末期を支える家族に関する学びの必要性も感じている。
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Causes of Carryover |
平成27年度では、島根県内の中山間地域における在宅看取り経験者の多職種連携に関するインタビューを計画している。 準備には、地域での在宅療養生活を支える専門職を対象にした講演会の開催などを行う必要があった。講師派遣などの支出を見越し文具などの購入を控えた。特に、郵送料、本購入などを控えた結果、7464円の繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越しとなった7464円では、本の購入や消耗品の購入を計画している。
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Research Products
(1 results)