2016 Fiscal Year Research-status Report

発展途上国の農業支援ものづくりを志向したフィールド教育の実施と教育効果の分析

Research Project

Project/Area Number	26560088
Research Institution	Osaka University
Principal Investigator	大村悦二大阪大学, 工学研究科, 教授 (90144435)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	小峯茂嗣立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 助教 (80510081) 大野光明同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 研究員 (80718346)
Project Period (FY)	2014-04-01 – 2018-03-31
Keywords	On the Job Education / 実践型演習 / フィールド教育 / 発展途上国 / 農業支援 / ものづくり
Outline of Annual Research Achievements	本研究は、バングラデシュを対象にして、農業支援を志向したものづくりとフィールド教育によって、グローバル人材の育成を実践することを目的としている。単なるアイデア出しや生産者目線のものづくりではなく、海外に赴き、現地の人たちと交流しつつ、現地で役立つものを、現地の人が継続して生産し活用できるまでに推し進める。こうした国内外での実践体験を通して、社会に役立つ工学の重要性と、国際親善・国際協力の大切さ、素晴らしさを学ばせ、真のグローバル人材を育成することをねらっている。ただ、バングラデシュの農業の機械化、インフラ整備は着実に進んでおり、今後、農具の開発や改善に関わる学生のアイデアや設計・製作だけでは、現地農民の期待に沿うことは難しくなってきた。そこで、本年度は、長期に見て農村が豊かに発展できるように、農業支援を単なる農具の開発や改善に限定せず、将来の農業を担う農家の子供たちの教育に目を向け、子供たちが科学・技術に興味を持ち、農業の近代化に取り組んでいけるような知育教材としてのものづくりを対象として研究を進めた。そのような中、7月に首都ダッカでテロ事件が発生した。そのため帰国した青年海外協力隊員で、現地小学校の教育改革に参画していた人と面談し、バングラデシュの教育が教科書中心の純然たる暗記型教育で、政府は児童中心、実験中心の授業に改善したい意向であるとの情報を得た。この話は、ものづくりを通して、デザインしたり創造力を発揮したりする楽しさ、作り上げたときの喜びなどを体験できる新たな教育を目指そうとする研究方針を支持した。安全を考慮して現地活動は断念したが、ビデオとSkypeによる遠隔授業を立案し、実行した。安全性、実現性、教育効果の観点から、竹とんぼに替わる紙とんぼを教材に選び、画面を通してではあるが、現地の子供たちと交流し、ものづくりの楽しさや喜びを共有することできた。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason バングラデシュに赴き、現地活動する予定であったが、7月に首都ダッカでテロ事件が発生し治安が悪化したため、渡航を断念せざるを得ない状況となった。そこで、ビデオとSkypeによる遠隔授業を立案し、実行したが、新しい試みであったため、検討すべ課題がいくつか残った。
Strategy for Future Research Activity	長期に見て農村が豊かに発展することができるように、農業支援を単なる農具の開発や改善に限定せず、将来の農業を担う農家の子供たちの教育に目を向け、子供たちが科学・技術に興味を持ち、農業の近代化に前向きに取り組んでいけるような、ものづくりを通した新しい形の教育を引き続いて提案していく。10日間程度のフィールドワークをバングラデシュで行いたいが、安全面で渡航が困難な場合は、本年度実施したようなビデオやSkypeによる遠隔授業を実施する。その場合、バングラデシュからの留学生や日本の小学生たちに参加してもらうなど、授業そのもののやり方も検討する。提案する新たな教育形態の普及方法についても検討していく。
Causes of Carryover	本研究では、発展途上国の対象をバングラデシュとして研究を進めてきた。平成28年度にもバングラデシュに赴き、活動する予定でいたが、7月に首都ダッカでテロが発生し治安が悪化したため、現地調査等が困難になったため。
Expenditure Plan for Carryover Budget	10日間程度のフィールドワークをバングラデシュで行いたいが、安全面で渡航が困難な場合は、本年度実施したようなビデオやSkypeによる遠隔授業を実施する。いずれにしても、バングラデシュの子供たちが科学・技術に興味を持ち、農業の近代化に前向きに取り組んでいけるような、ものづくりを通した新しい形の教育を引き続いて検討し、提案していく。そのための経費に充当する。