2015 Fiscal Year Research-status Report
不確実・低成長時代の次世代都市時空間構成に関する数理的研究
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26560162
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 勉 筑波大学, システム情報系, 教授 (00282327)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 都市空間 / ネットワーク構造 / 施設配置 / 土地利用 / 持続可能性 / 将来設計 / 最適戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能な都市形成の将来像として,集約型都市構造の概念が提示され,コンパクトな市街地形成を究極的な目標とした都市計画を中央政府や地方自治体が掲げるようになってきた.しかし一方で,地域や文化によってそのあるべき姿は異なるという指摘や,都市は生き物の如く,社会経済の変動にしたがって絶え間なく変化しているという指摘もある.こうした時間軸も考慮した都市の空間構成は,予測困難な将来に対して頑健性と柔軟性を併せ持つと同時に,一定の効率性も満たすものでなくてはならないと考えられる.そこで本研究では,将来の不確実性と低成長時代の特徴を考慮した次世代都市時空間構造について,数理的アプローチによる都市構成要素のモデルモジュールの開発を行い,未来都市の時空間構成のあり方を探ることを目的とする. 27年度は,(1)施設の配置密度とネットワーク構造のパターンについて,(1c)ネットワークのパターン・密度と交差点密度の関係を明示的に求め,交差によるロスからネットワークの最適密度を導き,(1d)ネットワーク上の輸送システムとして,自家用車や徒歩・自転車などの自前型,鉄道やバス・カーシェアリングなどの出向き型,タクシーやデマンド型交通などの出迎え型の3者を比較した.(2)純化と混合のバランスから定まる土地利用の最適パターンと立体土地利用について,(2c)空中・地下空間などの立体的土地利用とそれによる多層化の最適土地利用の実現への寄与について検討を行うとともに,(2d)大規模敷地の都市内配置が交通移動効率に及ぼす影響を定量化し,大規模施設の最適配置パターンを明らかにした.さらに,(3)不確実性と低成長を前提とした最適時空間配置構成のモデル分析について,(3a)時間軸を導入した施設・ネットワーク最適配置モデルを構築し,人口成長・衰退や周期変動と施設の最適な設置・廃止場所とタイミングとの関係を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワークのパターン・密度と交差点密度の関係を明示的に求め,交差によるロスからネットワークの最適密度を導いた.また,純化と混合のバランスから定まる土地利用(面オブジェクト)の最適パターンを評価する方法がほぼ確立した.大規模敷地の都市内配置が交通移動効率に及ぼす影響を定量化し,大規模敷地を伴う施設の最適配置パターンが明らかにされた.さらに,時間軸を導入した施設・ネットワーク最適配置モデルが完成し,人口成長・衰退や周期変動と施設の最適な設置・廃止場所とタイミングとの関係が具体的な都市における施設配置過程との整合性の検討まで進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は,(3)不確実性と低成長を前提とした最適時空間配置構成(4D)のモデル分析については,(3b)施設やネットワークの寿命を明示的に導入し,スクラップ・アンド・ビルドとメンテナンス・更新の比較とタイミングの最適化モデルを作成するとともに,これを用いて,(3c)費用構造と適正なライフサイクルを明確にすることにより,成熟社会における都市の盛衰に合わせた都市更新と時空間的変動サイクルを解明する.さらに,3つのサブテーマを総合化し,将来の不確実性と低成長時代の特徴を考慮した次世代都市空間構造の具体像を明らかにする.
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