2014 Fiscal Year Research-status Report
体細胞クローン動物由来腎臓移植モデルによるマイナー組織適合性抗原の評価
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26560212
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
音井 威重 山口大学, 獣医学部, 教授 (30311814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保 正仁 山口大学, 獣医学部, 助教 (40593439) [Withdrawn]
原口 友也 山口大学, 獣医学部, 助教 (90634759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 拒絶反応 / ミトコンドリア / クローン |
Outline of Annual Research Achievements |
体細胞クローン産子においては、ドナー細胞由来のミトコンドリアDNA(mtDNA)は消失し、ほぼレシピエント卵子由来となる。すなわち、ドナーとクローン産子のmtDNA型が一致しないこととなる。近年、わずかなmtDNAの突然変異により、宿主の自然免疫系による選択的排除の発生が報告された。腎臓のような複雑な構造を持つ臓器を、体細胞クローン動物から体細胞を提供したドナーへ移植した報告はなく、ドナーと異なるmtDNAの影響は不明である。本研究は、体細胞クローンネコの腎臓を取り出し体細胞提供ネコであるドナーに移植し、移植臓器の細胞中に混在するmtDNAによる影響(拒絶反応)を評価することを目的としている。 (1)移植後の拒絶反応評価:本年度は作出した体細胞クローンネコから体細胞を提供したドナーへ腎臓を移植する前に、手技的な対照として同じ個体への腎摘出後の再移植による腎組織への影響を調べた。再移植直後の腎機能は低下したが、1週間後には摘出再移植腎機能の回復を確認できた。今後、作出した体細胞クローンネコから体細胞を提供したドナーへ腎臓を移植して、移植後の拒絶反応について評価する。 (2)mtDNA比の違いによる胚発育の検討:本年度は、レシピエント細胞質とドナー培養細胞由来のミトコンドリアが全く異なる異種間での再構築胚の発育について検討した。特に再構築胚の作製時に細胞周期の同期化が重要であるが、異種間での再構築胚において化学的処置による同期化は効果がないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、同じ個体への腎摘出後の再移植による腎組織への影響を調べることにより、移植手技の確認を行い、1週間後には再移植した腎機能の回復を確認できた。また、ミトコンドリアが全く異なる異種間での再構築胚の発育について検討し、細胞周期の同期化は胚発育に影響を与えないことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの成果をもとに (1)移植後の拒絶反応評価:作出した体細胞クローンネコから体細胞を提供したドナーへ腎臓を移植して、移植後の拒絶反応について評価し、mtDNA由来のマイナー組織適合性抗原に対する宿主自然免疫系による拒絶反応を解明する。 (2)mtDNA比の違いによる胚発育の検討:核移植を行う際にレシピエント細胞質へドナー培養細胞由来のミトコンドリアを注入して再構築胚を作製し、mtDNA比の違いによる胚発育および腎移植後の拒絶反応について検討する
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Causes of Carryover |
本年度は、同じ個体への腎摘出後の再移植による腎組織への影響を調べることにより、移植手技の確認を行ったため、mtDNA量測定試薬等の消耗品費用の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、mtDNA比の違いによる胚発育および腎移植後の拒絶反応について検討するための試薬品購入に使用する。
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Research Products
(1 results)