2015 Fiscal Year Annual Research Report
人間の歯の健全性評価に向けた3次元アトムプローブによるナノスケール元素分析解析
Project/Area Number |
26560234
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 康雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40581963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
サダル アリレザ 東京医科歯科大学, 国際交流センター, 非常勤講師 (20567755)
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10302209)
井上 耕治 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50344718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 生体材料 / 3次元アトムプローブ / 元素分析 / 硬さ |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで金属や無機材料にしか適用できなかった3次元アトムプローブ法を初めて人間の歯に応用することにより、原子1個1個を直接観察し、ナノスケールで実空間上の元素分布の不均一性を調べることを目的とした研究を行っている。これまで3次元アトムプローブ法は生体材料には適用できなかったが、高精度な集束イオンビームの加工技術により微細な試料形状の制御を著しく向上させ、さらに、紫外光レーザー(355 nm)の導入により3次元アトムプローブ法の測定で容易に原子を剥ぎ取れるようになったため、測定が困難とされてきた人間の歯に適用できるようにしてきた。本研究は、歯中の局所的な元素組成とナノスケールの硬さとの相関を明らかにし、歯の健全性に関する知見を得ようとするものである。 本年度は、人間の歯を構成する主な成分であるハイドロキシアパタイト(HAp、テスト試料)を用いて、高精度集束イオンビームによる針試料加工条件(Gaビームの加速エネルギー・電流値・切削領域など)および3次元アトムプローブ測定条件(電界蒸発を誘発するためのレーザー強度、レーザーパルス周波数、イオン蒸発速度、試料温度など)の最適化を図り、再現良く針状試料の量産・統計精度を高めるため多量な解析を行える状況を整えた。HApを用いて蓄積した技術ノウハウを実際の人間の歯(エナメル質層・象牙質層)に適用し、3次元アトムプローブ測定中に電界応力による試料破壊をほとんど起こすことなく、従来にない大体積且つ再現性の高い実空間上の元素分布を得た。歯の構成元素(Ca、Mg、Na、P、F、O、PとOの複合物など)の分布をもとに詳細な解析を実施することで、エナメル質においてMgの顕著な粒界偏析・析出が見られることが分かった。これまでマイクロスケールの組織観察で歯の健全性を評価してきたが、今回ナノスケールにおいて元素が不均一に分布しているという新しい知見を得た。
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Research Products
(3 results)