2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26560327
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 准教授 (10329162)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 抑うつ状態 / 系頭蓋磁気刺激 / 事象関連電位 / 網膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では『予測-遂行-評価』の機能連携に影響を与える変数として刺激入力-知覚段階を捉え,健常者と抑うつ状態にある被験者を1. ERG,2. TMS-EEG,3. ERPを指標とした差異検討を掲げている. 本年度も昨年度同様,191名を対象としたうつ性自己評価式尺度(self-rating depression scale; SDS)によるスクリーニングをおこなった.その結果を受け,本年度のスクリーニング対象者,かつ実験参加の希望があった者から19名を対象にPattern reversal ERG検討を実施した.実験条件は,コントラスト条件をMichelsonコントラスト比に基づいた8条件(98.44%, 83.59%, 60.94%, 37.50%, 19.53%, 8.59%, 3.13%, 1.56%)とし,刺激呈示条件を左眼呈示・右眼呈示条件とした.また,Pattern reversalは11.5rpsとした.ERG指標は,コントラスト比条件ごとのFFT処理によって得られた刺激に同期した周波数成分である11-12Hz,23HzのRMS値(μV)を線形回帰処理した傾き(以下,ERG-slope)とした(Bubl et al. 2010).心理指標には,実験開始直前に実施したSDSを用いた.尚,SDS回答に不備のあった1名を解析から除外し,18名を対象に検討をおこなった.その結果,右眼条件におけるERG-slopeとSDSにおいて有意な相関関係が認められた(r=-0.54, p<.05).本結果は抑うつ状態が知覚入力段階において影響を与えることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施したERG実験では,抑うつ状態が知覚入力段階に影響を与えることを示す結果が得られた.また本研究に先立って実施されたTMS-EEG実験でも健常者において知覚段階における影響が示唆されている.したがって,進捗状況は概ね順調であるといえる.これらの結果を受け,研究目的達成のために,平成28年度も早期に最終検討に向けた実験を開始することが重要である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はERG実験を実施し,抑うつ状態による知覚入力段階への影響が示された.また本研究に先立って実施されたTMS-EEG実験でも健常者において知覚段階における影響が示唆されている.以上の結果から,最終年度である平成28年度は最終実験を実施する.これら検討を進めるにあたって,申請時に示した研究体制に基づいて該当分野の研究者と随時議論のうえ,研究を推進していくものとする.
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Causes of Carryover |
平成27年度は実験に必要な環境整備と実験遂行を優先したため,国内学会への参加を取りやめた.この結果,次年度使用額が発生した.当該部分を除いては,昨年度に再検討した使用計画に基づいて研究費を使用した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は,解析に必要なソフトウェアの購入をおこなう.また,被験者謝金を計上する.この他に解析や発表に掛かる経費を予定する.
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