2015 Fiscal Year Research-status Report
MR画像の自動判別法ならびに特定部位の筋・脂肪量からの運動能力推定法の開発
Project/Area Number |
26560361
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 俊之 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (10454076)
陳 延偉 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (60236841)
浜岡 隆文 東京医科大学, 医学部, 教授 (70266518)
西川 郁子 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90212117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スポーツバイオメカニクス / スポーツ科学 / 健康科学 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1:T1強調画像やT2強調画像では画像内の輝度値にムラが見られることもあるため,T1強調画像法,T2強調画像法,T2Map,拡散強調画像法,2-point Dixon法,Proton-MR-Spectroscopy法(1H-MRS)などの撮像法を用いて検討を行った。設定したボクセル内におけるT2Mapにより取得したT2値は,そのボクセルに対して1H-MRSで測定したスペクトル内の1.3ppmに位置する筋線維内脂肪とは相関がみられず,1.5ppmに位置する筋線維外脂肪との間に有意な相関が認められた。このことから,筋内に存在する脂肪組織がMR画像の輝度値に影響を与える可能性が示唆された。また,筋線維外脂肪は筋力や筋量と負の相関関係にあり,腹部内臓脂肪との間に有意な正の相関が認められた。別の研究で,筋線維外脂肪と脈波伝搬速度に有意な負の相関関係が認められ,T2値および輝度値はメタボリックリスクなどにも影響することが考えられた。 研究2:大学学部生・大学院生から被験者を募り,また,地域の病院でメタボ外来に通院している患者に説明をし,同意を得られた者を対象にして,コホートデータを取得した。測定項目は,①血液検査,②体組成,③MRI,MRS,およびT2Map ④動脈硬化指標,血圧,心電図検査,⑤筋力,⑥柔軟性,(⑦最大酸素摂取量),⑧踵骨超音波速度,⑨栄養調査,⑩日常生活身体活動量,⑪ロコモティブシンドロームチェック,であった。取得したデータはすべてデータベースとして,まとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究1について,T2Mapで得られたT2値では,筋肉成分と脂肪成分の選別ができる可能性があることは示されたが,被験者によって筋肉のT2値が微妙に異なるため,閾値を被験者毎に設定する必要があり,全自動処理によって筋断面積および筋内脂肪断面積を識別するのは難しく,結局のところ,半自動処理となる。したがって,2-Point Dixon法を有効に利用することが全自動処理可能な高空間分解能で画像を取得するために必要であることが確認された。 研究2のコホートデータは現在246名に達し,18~81歳と幅広い年代からのデータが蓄積された。しかしながら,10代(男性59名,女性30名),20代(男性40名,女性20名)と比べて30代が4名のみ(全て男性)と少なく,また,40代(男性5名,女性23名),50代(男性4名,女性28名),60代(男性4名,女性19名)では,男女比が著しく異なっている。したがって,被験者数が少ない30代の被験者および40~60代の男性被験者を募る必要がある。MRI解析の自動化は上述の通り,あまり進んではいないが,マニュアル解析で92名分の計測は終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度初期に,Dixon法, T1強調画像,T2Mapの組み合わせにより,四肢および体幹部の横断面上の筋肉・臓器・脂肪組織の自動判別を可能にする画像処理アルゴリズムを構築する予定である。Dixon法は撮像時間がかかりすぎるため,全身の撮像には向かない。そこで,MRI画像のスパース性を活かした辞書学習法を用いて高精度で取得する撮像の枚数を減らし,データ取得時間の短縮を図る。その後,圧縮センシングを用いた高精度高速再構成アルゴリズムを使い,データ密度を間引いた画像の情報に先ほどの高性能画像の情報を加味して微細構造を鮮明に復元する。高精度で取得した断面における自動判別は可能であるので,復元された画像でも自動判別できるか確認する。 この取得方法が構築されたら,サンプルデータを用いてMRI解析した結果をマニュアル解析と自動判別解析とで比較し,その精度を確認したのち,コホートデータに適用する予定である。さらに,研究2のコホートデータの取得を同時進行的に行い,特に被験者の少ない30歳代および40歳以上の男性から被験者を募り,幅広い年代の大規模データの作成を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は画像自動判別のアルゴリズム開発が少し遅れ,そのために準備していた資金を使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は,アルゴリズムの開発ならびに運用で資金が使用される。また,コホートデータの取得は継続的に行い,準備された資金を計画的に使用する予定である。
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Research Products
(10 results)