2014 Fiscal Year Research-status Report
途上国でのChild to Childによる子どものエンパワメントの可能性と課題
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26560413
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡辺 隆一 信州大学, 教育学部, 特任教授 (10115389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
友川 幸 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (30551733)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | エンパワーメント / 学校保健 / 開発途上国 / ケニア / バングラデシュ / CTC |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、開発途上諸国では、子どもから子どもへと健康に関する知識や技術を普及させる教育手法であるChild to Child (CTC) アプローチを用いた健康増進・環境改善活動が進められている。本研究では、①CTCアプローチを用いた健康・環境増進活動の実態と特徴(成功事例の収集と課題の集約)、②成功要因および阻害要因、③CTC活動による子どもや教師のエンパワメントの可能性を明らかにすることで、④CTC活動の可能性と課題を明らかにすることを目的とした。平成26年度は、ケニア及びバングラデシュ(ニジェールでは治安の問題があり、調査を延期した)を対象として調査を行い、①文献検討、②文献収集、③各国の政府関係職員及びパイロット活動を行っている学校で聞き取り調査を行い、CTC活動の各国の実態と特徴(対象、活動内容、評価方法、成功事例と共通課題、CTC活動がより効果的に進められるための諸条件(活動の成功要因及び阻害要因)、CTC活動を通して得られる子どもや教師へのインパクト(教育的意義の検討)を検討した。 その結果、ケニアでは複数の支援団体が、CTCアプローチを用いて健康増進・環境改善活動を行っていることが明らかになった。しかしながら、各団体がそれぞれの方法で、特定の地域を対象として活動行っていた。また、政府職員に対する聞き取り調査では、CTC活動の有効性を認識しているものの、国家の学校保健戦略の中では、その具体的な方針は明示されていないことが分かった。一方、バングラデシュでは、国家の取り組みとして、教育省及び保健省の協力のもとでCTCアプローチを用いたプロジェクトが進行していることが分かった。学校での調査からは、子どもの創造力や社会性、リーダーシップなどを養う活動としてその活動の重要性が認識されていた。また、調査の結果、今後の課題として具体的な活動の方針を提示するガイドライン等の策定が求められていることを明らかにた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
27年度に予定していた2か国目の調査を行うことができ、さらに、本研究の調査の結果を踏まえて、12月に行われたアジア地域の行政官を対象とした学校保健研修の中で、CTC活動の活性化をテーマに講演とワークショップを行った。さらに、アジア地域でのネットワークの構築にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ニジェールでの治安の安定の状況を鑑みつつ調査を行っていきたいと考えている。状況の改善が期待できない場合は、アジア地域またはアフリカで適切な調査地を検討し、継続調査を行っていく予定である。また、引き続き、アジア及びアフリカの学校保健関係のネットワークで調査結果の報告を行い、ネットワークの構築を図っていく予定である。また、WHO本部、関連領域の国際レベルでの学会等において、これまでの調査の結果の共有及び最新の知見の収集を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画で見込んだよりも安価で研究が遂行できたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
治安の回復状況を見ながら、平成27年度の請求額とあわせ27年度の調査旅費として使用する。
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Research Products
(1 results)