2014 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ語圏等における新聞制度成立の背景に関する研究
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26570001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江口 豊 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (70203627)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新聞成立史 / 新聞普及 / ドイツ語圏 / 神聖ローマ帝国 / オランダ語新聞史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、ドイツ語圏新聞成立史関連の研究文献調査(国内研究機関未購入の文献を中心にした文献購入経費)、ブレーメン大学活字メディア歴史研究所ホルガー・ベーニング教授との研究協議、新聞一次資料調査など(海外出張)を通じて、(a)成立期の新聞の報道内容の検証、(b)新聞普及期の新聞分布・普及の把握、(c)新聞普及の前提と目されるインフラとしての郵便(駅逓)制度の成立に関する研究史の調査、(d)本研究プロジェクト開始前に着手していた印刷業の実態研究の調査などを推進した。 (a)新聞成立期とその前段階の手書き・活字メディアの諸形態が示す報道・伝達内容が現在の新聞と大きく異ならず、新聞の四条件のひとつである非限定性(universality)を段階的に達成しつつあったことが追認できた。ただし関心の対象は時代の政治情勢に大きく左右されていたことも確認できた。(b)Bogel/Blühm, Welke/Wilkeなどの先行研究から一部を除き(発行地・発行者の確認が不可能な一次資料が少なからずあった)地理的な新聞展開が確認できた。(c)その部分的背景として、15世紀末にスタートする郵便(駅逓)制度が大きな力となったことをBehringerなどの先行研究により確認できた。(d)16世紀のフランスや17世紀リューネブルクでの印刷業の実態に関する先行研究に加え、16、17世紀のドイツ諸都市(具体的には郵便制度上も重要だったアウクスブルクやレーゲンスブルク)の印刷業・印刷制度に関する先行研究により、印刷業者が新聞印刷に着手する経済的動機の更なる根拠が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度の実施計画に挙げた「17世紀ドイツ語圏の新聞の一次資料調査」は、先行研究の確認の他、インターネット上での検索が可能なブレーメン大学のマイクロフィルムコーパスを利用し、その概要を把握するにとどまった。ただし、ドイツ語圏に「おける新聞の拡散・普及の検討という課題については、先行研究などの二次調査の結果、相当程度解明することができた。とりわけ仮説として想定した地理的な拡散・普及は検証できないことが判明し、むしろインフラとしての郵便(駅逓)制度の影響が甚大であったことが追認できた。印刷業者が新聞を発行したケースの他、郵便業務の関係者(郵便局長や郵便を利用してすでに手書きでニュースを発信していた書き手など)などが新聞発行に関わったケースは次年度に考察する。 17世紀のオランダ語新聞の一次資料調査は本格的な作業が未着手である。神聖ローマ帝国の領域からオランダ語圏への新聞普及・拡散については、先行研究に関する調査を先に進めている。 フッガー新聞に関しては先行研究の調査検討により、全体像が把握できるところまで到達した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、研究計画全体と前年度の実績を踏まえ、(1)オランダにおける新聞の導入と拡散、(2)神聖ローマ帝国における検閲制度史の調査、(3)フッガー新聞の一次資料を中心に調査する。(1)についてオランダでの先行研究および部分的に現存する一次資料を調査する。平成27年度にオランダでの現地調査の可能性が確認できれば、インターネット上での一次資料の確認と合わせて、所期の目的は達成可能と考えている。(2)に関しては、すでにいくつかの関連研究文献を入手済みで、とりわけ神聖ローマ帝国における法的状況、政治状況と新聞発行との関連に焦点を絞り考察する。(3)については、オーストリア国立図書館のホームページで公開されている一次資料の存在を確認できているので、今後サンプルを抽出して分析作業にかかる。 年度の終盤には、再度ブレーメン大学の活字メディア歴史研究所スタッフとの研究協議により、達成された研究成果に関する遺漏のチェックを行いたい。また可能であれば、新聞受容についてもその主要要因を取りまとめた概略を明らかにして、次の研究プロジェクトへの足がかりとしたい。現時点で研究計画の大きな変更は予定していない。
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Research Products
(1 results)