2015 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語圏等における新聞制度成立の背景に関する研究
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26570001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江口 豊 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (70203627)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新聞成立史 / 神聖ローマ帝国 / オランダ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる平成27年度は、ドイツ語圏およびオランダにおける新聞成立に関連する研究文献調査、ブレーメン大学活字メディア歴史研究所ホルガー・ベーニング教授との研究協議、新聞一次資料調査を通じて、(a)新聞成立期の前後となる16世紀から17世紀の神聖ローマ帝国における印刷監督制度の法制度とその運用実態の研究、(b)オランダにおける17世紀前半の新聞成立史の研究、(c)新聞の先駆形態の一つとしての手書き通信について、そのコレクションとして最大のの規模を誇るフッガー通信の研究史調査の三点を重点的に推進した。 (a)所期の研究目的として上げた「なぜ新聞が17世紀のヨーロッパで誕生したのか」に対する解答を模索する作業のなかで、印刷物等に関する監督制度を踏まえる必要を痛感した。この問題に関する先行研究を踏まえ、当時の神聖ローマ帝国の統治制度全般、とりわけ印刷物等の管理権限の実態などが自己検閲などを中心とした緩やかなものであった点、新聞に対する需要が管理を求める力に優っていた点など、一定程度明らかにした。 (b)ドイツ語圏における新聞成立については比較的研究が進んでいるものの、本邦においては、周辺国への新聞普及についてほとんど知られていない。そうした現状を踏まえて研究目的にも記載した周辺国の一例としてオランダを取り上げ、比較的新聞普及の早かった理由や同国内での普及について先行研究を踏まえて考察した。 (c)印刷形態の新聞以前には、手書きではあるものの、職業的執筆者によるニュースが開設されたばかりの駅逓制度にのってイタリアからドイツ語圏へと拡散した。その内容や実態などについて最新の先行研究を辿りながら考察した。また、当時のヨーロッパでの報道トピックスとしての日本についても例示、紹介した。
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