2015 Fiscal Year Annual Research Report
ウガンダの「うなづき症候群」に対する治療とケアの方法の確立をめざす学際的地域研究
Project/Area Number |
26570007
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
武井 弥生 上智大学, 総合人間科学部看護学科, 准教授 (40197257)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ウガンダ共和国 / うなづき症候群 / コミュニティベースオーガナイゼイション / 知的障碍者 / 世帯構造 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
8月2月渡航、2月はウガンダ5年ぶりの大統領選挙を始めとする総選挙の時期と重なり、滞在期間の変更、短縮化を余儀なくされた。医療班:8月、グル県パイチョ準郡ラクウェラ村にて、患者家族を訪問し詳細な聞き取り調査を行った(前年は主に神経学的検査を行う)。患児25名中通学者は5名のみ。その他は、頻回のけいれん発作などで通学を断念している。通学可能児も昇級試験に落第し続けている。しかしながら、通学できない患児の中に、暗算が可能な者、短期記憶が保たれている者、巧みに地面に絵を描く者がおり、適切な環境、指導のもとで知的能力を伸ばし得ると考えられた。これまでに築かれた人脈から、グル市中学校教員で障害児教育に携わるアチョリ族出身者が他の数名と共に、ラクウェラ村へ出張教育を行う事となった。グル県の近隣で、うなづき症候群患者が更に多い、キトグム、ラムウォ両県に視察を行った。患者を取り巻く状況は、教育、経済など、ラクウェラ村と同じく厳しく、けいれん発作による水たまりでの溺死は三県でみられたが、後者二県では女子患児への性的暴力も報告されている。8・2月の会合で、両親が農作業をする日中、患児を見守る収容施設の早急な設置が望まれ、今後その自律的な運営と共に課題にあげられた。 社会班:患者家族には大所帯が多い傾向が昨年観察されたが、8月の調査では、村落全体で世帯構成が頻繁に変化しているのが観察され、患児ケアにおける村落外を含める広域の親族ネットワークの存在が示唆された。また、患者家族による支援組織(Community Based Organaization)では、メンバーの入れ替わりや活動内容の変更がたびたび観察されており、10 年にわたる避難民キャンプ生活から帰還して5-8 年目の復興途上のコミュニティにおいて、どのような社会関係を基盤とした組織づくりが模索されているのかが、今後の調査の課題となる。
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Research Products
(3 results)