2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26580055
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小倉 いずみ 大東文化大学, 法学部, 教授 (00185563)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 真理 大東文化大学, 法学部, 准教授 (30513668)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 啓蒙主義と宗教 / 自立と国民意識 / コネチカット古地図 / 領土と独立 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / アメリカ合衆国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカにおける啓蒙主義を文学と思想の観点から探究することを目的としている。知識人は科学の文献を読むことにより迷信を排除したが、啓蒙主義は科学だけではなく思想的にもアメリカ独立革命の原動力となった。啓蒙主義は強い自己意識を創り出し、独立の意識を促進した。本研究は、Thomas Hookerのコネチカット植民地と独立戦争の出発点であるマサチューセッツ州コンコードを中心に、アメリカ人の自立と国民意識の興隆を分析する。 2014年度は、夏期にコネチカット州立図書館とコネチカット歴史協会、ニューヨーク公立図書館で資料を収集した。コネチカット州立図書館は今回初めて調査を行い、トマス・フッカーの遺書の全文を入手した。 コネチカット歴史協会において、アメリカ独立革命前後のコネチカット州の領土について独立後に初めて作成された合衆国の地図を調査した。コネチカットの古地図はきわめて重要な資料で、最初はニューヨーク公立図書館で入手する予定だったが、コネチカット歴史協会は美しいデジタル版を持っていたので、この著作権使用料を支払った。そのほかに、歴史協会の学芸員に助けていただき、日本で入手できなかった冊子のコピーをした。その後フッカーの9代目の子孫の自宅に招待され、この地図のコピーの現物を見た。 研究分担者の坂部真理は、現代政治が専門であるため、2014年度は1980-2000年代のアメリカの教育改革に関わる文献・資料を収集し、宗教と公教育の関係の現代的展開などについて検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度はコネチカットに関する資料収集を行い、独立戦争当時のハートフォードに関しては研究は達成できた。しかしボストンとコンコードは未だ研究の余地がある。 今回収集した合衆国の独立直後の地図は、英国から独立したことを領土により証明しようとするアメリカ人の意識を明確に示している。この地図を作製した人物はハートフォードに在住し、コネチカット州が領有できる広大な地域を「コネチカット」という名前のもとで示した。独立戦争前後にコネチカット州は1662年の勅許状を根拠に、大西洋からミシシッピ川までの広大な領土の領有権を主張した。後にすべての州が領有権を返上して連邦政府に移譲し、合衆国政府は1894年の北西部条例で連邦直轄地の配分を決定したが、独立したばかりの国家にとって、地図の作製は英国からの領土の割譲を示すために重要な意味があった。 坂部真理は、近年のアメリカ教育改革に関する連邦議会議事録・公聴会記録、新聞記事、および諸団体の刊行物を収集し、それらを基にした論文を執筆中である
|
Strategy for Future Research Activity |
2015年度もアメリカに出張し、ボストンとコンコードにおいて資料収集を行う。ハーバード大学ではワイドナー図書館で文献を収集し、ホール先生に専門的知識を提供していただく。またアメリカ独立戦争の最初の戦いであるコンコードとレキシントンを調査する。コンコードは独立革命の発祥の地として政治的に重要なだけではなく、アメリカの知的独立宣言と言われる 「アメリカの学者」(1837)を執筆したエマソンの故郷でもある。 坂部真理は、アメリカにおいて追加の資料収集を予定しているが、ワシントンD.C.を中心とする。
|
Causes of Carryover |
アメリカに現地調査に行った際に、謝金が予測したよりも少なかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度もボストンとコンコード、ニューヨークで現地調査を行う予定である。このため次年度使用額は旅費として使いたい。
|
Remarks |
夏休みに行うアメリカでの現地調査は、ホームページで報告している。
|