2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation into Language Processing Mechanisms through Evaluation of Mildly Aphasic Subjects and Learners of Japanese
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26580101
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
宮本 恵美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (80623511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
大塚 裕一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (70638436)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語学習者 / 失語症者 / 聴覚的把持力 / 言語情報処理モデル / 日本語教育学的評価 / 言語聴覚学的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、日本語教育学的評価を作成し、その評価を軽度失語症者に対し実施した。結果、N2レベルだけでなくN5レベルの課題にも誤りが多く認められた。その理由は、N5レベルの課題であっても、例えば、「はやく結婚( )たいですが・・・」の空欄に【し、して、する、した】の中から選択する課題というように意味的な関連性が近いものが選択肢に存在したことが成績低下に影響したのではないかと考えられた。他にも、N1~N2レベルの日本語学習者(中国語母語話者・韓国語母語話者)に対し、失語症者の分析に使用されている言語情報処理モデルを用い、言語聴覚学的評価を実施した。結果、異同弁別検査では、有声破裂音と無声破裂音の弁別や無声破裂音の弁別の誤りが若干認められた。また、復唱課題では、異同弁別検査と比較して、誤りが多く認められた。誤りの特徴として、中国語母語話者は、はじき音の置換、有声破裂音の無声化、無声破裂音の有声化などが大きな割合を占めた。それに対し、韓国語母語話者では、無声破擦音の拗音化、有声破裂音の無声化、無声破裂音の置換などが認められた。個別の結果から分析すると、母語話者によっては、音韻弁別課題では、良好な成績が認めたにもかかわらず、ある特定の日本語音韻に対する構音動作の習得ができていない、つまり、構音運動記憶の点での脆弱さがあるのではないかと考えられた。さらに、ポインティングスパンテストを実施した結果、中国語母語話者、韓国語母語話者の双方とも母語に比べて日本語の聴覚的把持力の低下が認められた。聴覚的把持力の低下は、失語症者の基本症状の一つといわれており、その能力は失語症者の聴覚的理解力に大きな影響を与えていると考えられている。日本語学習者も、日本語を学習半ばであるため、日本語の音韻が内的に再生しにくかったのではないかと考えた。
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