2014 Fiscal Year Research-status Report
グローバルな人材育成のための英語教員養成5年制カリキュラムの開発と妥当性の検証
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26580107
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐野 富士子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (30248893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 英敏 茨城大学, 教育学部, 准教授 (20318695)
吉田 晴世 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40210710)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 教職カリキュラム / 教員養成課程 / 高度な授業力 / グローバル人材の育成 / 教師力育成 / 第二言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の予備調査として文献研究(佐野・齋藤・吉田, 2013a) およびその成果に基づいた英語教員育成カリキュラム案(佐野・齋藤・吉田, 2013b) を作成してあったため、本研究初年度H26年はカリキュラム案の修正と完成に向けて以下の探求を行うことができた。また、それぞれに成果を出すことができた。 1.教員養成で高い評価を得ているフィンランドのオーボ・アカデミー大学を訪問し、以下3点を調査した。(1)小中高大の授業参観し、教育実習の様子も同時に観察し、説明を受けたので、フィンランドの教師教育はなぜ効果が上がるのか理解できた。(2)実習先である附属校の校長、教職課程担当者、英語担当教員にインタビューし、優れた教員を育てるための教育環境作りと、授業力を育てる教育実習の持ち方を学んだ。(3)5年間で高度な知識と技能を身に着けた教員を輩出する教員養成課程のカリキュラムの入手を試みた。まとまった形では大学のホームページに載っていないとのことで、関連資料を頂戴し、各科目をどう関連づけてカリキュラムを構成しているかについての説明を受けた。(4)フィンランドでの英語教育指導法の実際と成果を学んだ。以上、現地で担当者と直接討議できたので、文献調査では知りえない所まで踏み込んで調査でき理解が深まった。 2.フィンランド以外の諸外国でも、教員養成で大きな成果を出している大学・大学院ではどのようなカリキュラムが組まれているか、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本にある合計11大学院のカリキュラムを調査し、一覧表を作成した。 3.日本で英語を教えている現職教員が、大学や大学院で何を学んでおきたかったかについてのニーズを調査する準備として、大学教員2名、中高教員2名に協力を仰ぎ、予備調査を行った。その結果、質問に修正を加えることができた。H27年度に行う本調査の準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の実施計画は、1)フィンランドにて現地調査、2)世界の主な大学大学院のカリキュラムを調査、3)文献調査として、TKT, J-POSTLEなどの分析、4)グローバルな人材育成を目指す英語科教員の養成プログラムとしてのカリキュラム作成、5)カリキュラムに基づくシラバス執筆の5点であった。しかし、これに加えて、6)来年度に予定しているインタビュー調査の予備調査を行った。これは、シラバスを作成する前に、学会発表済みのカリキュラムにさらに修正を加えて完成度を高めようとしたためで、文献調査範囲を広げ、来年度に予定していたインタビュー調査を前倒して予備調査的に小規模で前倒しして実施した。これにより、本年度のシラバス作成の材料は揃い、文献調査とインタビュー調査については、来年度に計画していたことも、一部今年度に実施することができた。
執行した予算を種類別に振り返ると、(1)旅費の使途については、3名でフィンランドのオーボ・アカデミー大学を訪問し、授業参観、教育実習の視察、担当教官とのディスカッション、資料集を行い、現地で担当者と直接協議することで、文献調査やインターネット検索では到底知りえない所まで調査ができた。(2)謝金を使って2つの成果を得た。一つは学生を動員して海外の有名大学院のカリキュラムを収集し、一覧表を作成した。これにより、日本のこれからの教職大学院に必要な科目を検討するうえで、貴重な資料となった。二つ目は、現職中高教員2名と、大学教授で英語科教育法担当者2名にインタビュー調査を行った。これにより、本研究の妥当性の裏付けにもなり、来年度のインタビュー本調査に向けて、質問事項に修正を加えることができた。(3)物品購入費で図書を購入し文献調査をさらに進めた結果、完璧と思われたTKTやJ-POSTLEにもカバーしきれていない領域があることを発見し、本研究の独創性も確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)5年制カリキュラムの完成:H27年度には、教員養成5年制カリキュラムの実現可能性を確認する作業をさらに進め、検討を重ね、インタビュー調査や文献調査の結果を踏まえ、カリキュラムの実行可能性と精度を高め、完成版を作成する。これからの新しい教職大学院の1つのモデルとして国内外で発表する。 2)6年制カリキュラムの完成:5年制カリキュラムと併せて、6年制カリキュラムも作成する。現在の日本の学校制度では学部4年、修士2年であるため、現行制度を変えずにできる改革も提案する。また、6年制であれば、他学部からの編入生にも対応できる。 3)インタビュー調査:日本の英語教育学および英語教育実践のエキスパートにインタビュ調査に応じて頂き、5年制カリキュラムについて専門家の意見を集める。予備調査はH26年度に行い、質問項目に改良を加えてあるので、本年度は調査の実施範囲を広げる。インタビュー調査方法については、より大人数を対象として調査するため、直接面談方式と併せて、電話による聞き取り調査も併用する。集めた質的データを量的にも分析する。 4)文献調査:本研究の開始前の年度、および、初年度を通して行った文献調査は、H27年度はさらに発展的に深めるとともに広げ、シラバス執筆に向けて、討議を加える。 5)シラバス執筆:完成したカリキュラムに組み込まれた各科目のシラバスも3名で分担して執筆する。 6)学会発表:国際的な場での発表を計画しており、海外の研究者、実践者からの意見や示唆を取り入れて、国際的な場でも通用するひとつも日本のモデルを構築したい。
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Causes of Carryover |
文献調査のために購入した本の支払い明細が届くのが間に合わなかったため、本年度での計上はしないことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年度も文献調査を引き続き行うので、そのための図書購入にあてる。
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