2015 Fiscal Year Annual Research Report
文化人類学教育における映像メディアの創造的活用に関する国際的研究
Project/Area Number |
26580145
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
村尾 静二 総合研究大学院大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (90452052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 康宏 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (00111089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 映像人類学 / メディア / 教育 / フィールドワーク / 民族誌映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、映像メディアを文化人類学の教育と研究に創造的に活用するための手法と理論、その倫理的課題について明らかにすること、そして、学生や研究者が応用できるかたちで提示することにより、文化人類学のなかに映像に関する共通理解を築いていくことにある。 現在、映像人類学を名乗らなくとも、誰もがフィールドワークに映像機器を持ち込むようになった。そして、映像は文字を補足するだけではなく、映像そのものに重要なメッセージが込められることも多く、教育から研究まで広く浸透し、様々に活用されはじめている。日本における映像人類学の研究は、西欧における活況とは対照的に、これまで一部の研究者に限られていたために、学生を中心にして映像を活用した人類学が活気を帯びることは喜ばしいことである。しかし、その一方で、文化人類学の教育と研究に映像を活用する方法について、共通理解は築かれておらず、映像における倫理とは何かという重要な問題が取り上げられることもまれである。映像を活用した文化人類学が今後どのように進むべきか、その方向性を示すことは急務である。 映像を創造的に活用するとは、研究対象をただ表面的に撮影するのではなく、映像の特性を理解したうえで、人間の視覚では捉えることが難しい現象を、持続する時空間のなかで総合的に記録・分析することであり、それにより研究対象について考察し、新たな理解を得、仮説さえも導くことが可能となる。このように、映像は、文化人類学の基本理念である人間の総合的な理解に貢献するものとして大きな可能性を有する。本研究は、そのような可能性を文化人類学全体の問題として捉え、教育と研究に映像を創造的に活用するための方法論モデルを構築し、提案するものである。
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Research Products
(2 results)