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2014 Fiscal Year Research-status Report

被災地域のネットワーク化と持続的な文化的支援の可能性

Research Project

Project/Area Number 26580153
Research InstitutionNational Museum of Japanese History

Principal Investigator

川村 清志  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20405624)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 葉山 茂  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (60592780)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords文化財 / 文化財レスキュー / ネットワーク / 持続可能性 / 震災遺構 / 記憶 / サブカルチャー
Outline of Annual Research Achievements

2014度の研究調査は、調査計画に基づき7月から開始された。
まず、7月から12月にかけて川村と葉山が中心となり、宮城県気仙沼市の小々汐地区と内湾地区における文化財の復興プロジェクトに関わる聞き取り調査と参与観察を行なった。現地調査では、小々汐地区以外にも気仙沼市の市街地である内湾地区の登録文化財の復興プロジェクトについても、継続的な調査を行うことにした。これら文化財も、震災によってダメージを受けており、それらの修復作業と文化財の現状を周知するためのプロジェクトが、気仙沼市教育委員会を中心に実施されている。これらのプロジェクトへの参与観察を行なうとともに気仙沼市教育委員会との協働作業として、活動の記録映像の作成などにも携わった。
次に宮城県七ヶ浜町については、7月、9月、11月に川村と兼城が参与観察と聞き取り調査を行った。七ヶ浜町では、当初の計画通り、復興に端を発するサブカルチャーを主軸としたイベント「痛セブン」(2014年9月23日)の参与観察を行なった。さらに七ヶ浜町のケーススタディでは、地元の人びと自身が震災の記憶と震災以前の記憶を語り継ぎ、記録していこうとする試みが開始されている。このような地域の生活者自身による記憶と記録の形態は、フィールドワークと密接につながるものであり、歴史資料と同等に口頭伝承が重視されることにも注目されるべきである。この「がたっぺ七ヶ浜の会」に関連する社会実践についても、あわせて調査を継続中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまでの研究調査は、おおむね当初の予定通り進展している。計画の主眼であった、気仙沼地区の尾形家のレスキューと七ヶ浜町のサブカルチャーイベントの調査は順調に行なわれた。調査時期にはやや修正が必要な部分もあったが、必要とされるデータについては、おおむね収集することができた。もっとも、個別のインタビューについては、今後も継続していく必要がある。これは震災についての記憶という言葉化されにくい経験が含まれているため、調査者と話者とのラポール(信頼関係)の構築が必要となるためである。また、震災そのものの記憶を呼び起こすことは、しばしばインフォーマントにとって大きな負担を強いることになるため、できるだけ時間をかけて継続的に行ないたいと考えている。
さらに気仙沼と七ヶ浜においては、研究課題によりふさわしい新たな事例が収集されつつあり、それらの事例についての検証を試みていく必要がある。具体的には、震災以前からの居住者と震災後のボランティア活動などを通して、地域にコミットメントしてきた人びととが協働で、被災者の支援活動やイベントの構想、外部からの巡検者たちの対応などに当っている現状について、調査をしていきたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

2015年年度は、研究調査を継続しつつ、その整理と検証を行なう予定である。気仙沼市と七ヶ浜町には、各々3~4回の現地調査にむかい、インタビューと参与観察を実施する。そこでは、最終的に村落単位ではたちゆかない地域社会が、どのように再組織化されていくのか、どのようなネットワーク化が、地域社会の文化復興に寄与しうるのかについて検討していくことになる。同時にそのような新たな地域ネットワークを対象とするための文化人類学・民俗学的な視点の再構築のための検証を行なう予定である。

Causes of Carryover

初年度の調査の開始時期が、当初の予定よりも遅れたため、調査回数と参加者の計が予定よりも少なくなった。そのため、前年度分の調査費を繰り越しせざるを得なかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

今年度には、昨年度に予定していた調査についても補足的に行なうため、2年間でのフィールドワークの合計としては、当初の計画通りになる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2015

All Journal Article (1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] マンガと聖地巡礼―「かんなぎ」の聖地、宮城県七ヶ浜町から2015

    • Author(s)
      川村清志
    • Journal Title

      歴博

      Volume: 191 Pages: 16

  • [Book] 『災害に学―文化資源の保存と再生』2015

    • Author(s)
      木部暢子編
    • Total Pages
      328
    • Publisher
      勉誠出版

URL: 

Published: 2016-05-27  

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