2015 Fiscal Year Annual Research Report
被災地域のネットワーク化と持続的な文化的支援の可能性
Project/Area Number |
26580153
|
Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
川村 清志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (20405624)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葉山 茂 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (60592780)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 文化財 / 文化財レスキュー / ネットワーク / 持続可能性 / 震災遺構 / 記憶 / サブカルチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究調査は,川村と兼城が宮城県七ヶ浜町で参与観察とインタビュー調査を行った。同時に川村と葉山が中心となって,宮城県気仙沼市の小々汐地区と内湾地区における文化財の復興プロジェクトに関わる参与観察とインタビュー調査を行なった。 気仙沼市の市街地である内湾地区の登録文化財の復興プロジェクトについても,継続的な調査を行うことにした。今回の調査の終了時点においては、小野建土蔵が終了し,角星酒造の修復作業が本格していたが、それ以外の文化財についての作業は実施されていなかった。これらの修復過程についても継続的な調査を行うことで、文化財レスキューと地域社会の復興過程を明らかにしていきたいと考えている。 七ヶ浜町では,当初の計画である復興に端を発するサブカルチャーを主軸としたイベントに加えて、地元のボランティアセンターのメンバーが中心になって行った震災復興5年目のイベントの企画段階から参与観察を行った。これは、地元の人びとが震災の記憶と震災以前の記憶を語り継ぎ,記録していこうとする「がたっぺ七ヶ浜」とも連動する営みであった。 この活動の中心は、地元の子供たちに震災の記憶を伝えるための「紙芝居」を製作することであった。研究者自らもミーティングに参加しながら、会議やワークショップの記録化をはかってきた。このような地域の生活者自身による記憶と記録の形態は,フィールドワークと密接につながるものであり,歴史資料と同等に口頭伝承が重視されることにも注目されるべきである。こうして2016年3月13日に町の中央公民館で行われた復興記念イベントについても映像による記録化を実施することができた。
|