2016 Fiscal Year Annual Research Report
International Contributions from the South as Post ODA
Project/Area Number |
26590022
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小林 誉明 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (00384165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 久洋 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (20385959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 開発途上国 / 南南協力 / 難民受入政策 / ホストコミュニティ支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2000年以降に急増した新興国によって展開さ れる南南協力の実践を、南北協力を前提として構成されてきた既往の国際協力のゲームのルール(ODA) に根本的な改変を迫るものとして捉え、新旧の援助レジーム間の「大競争」実態を明らかにするとともに、双方の国際協力のモデルの有効性の比較を行うことを目的とした研究であった。当初は、ODAと南南協力とを対立する構造で捉えてスタートした本研究であるが、シリアにおけるおける内戦の勃発およびその後の難民の急増という事態が、国際協力の現実を大きく変化させることになった。なぜなら、難民の受け入れをやっている国のほとんどが難民発生国の近隣に位置する発展途上国であり、ODA供与国である先進国は、難民受入という意味では限られた数の貢献にとどまっているという現状が展開されているからである。すなわち難民受入政策こそが、現代における途上国が実施している「南南協力」の最も代表的な形態と捉えることができ、そのため本研究の対象を難民政策に絞っていった。その結果、明らかになったことは、途上国において難民受入を可能としているのは実は、ホストコミニティ支援という形で先進国から供与されているODAであり、南南協力とODAとが共存するという姿であった。アフリカやアジアの複数の国々における現地調査を通じて、難民受入国の政府やホストコミニティが抱える難民を受け入れることの「合理性」を描くことができた。その様子は「ODAは難民を救えるか?」という論考として、パブリッシュされたものである。
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