2014 Fiscal Year Research-status Report
飴と鞭の効果についてのゲーム理論的分析と実験による検証
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26590029
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
上條 良夫 高知工科大学, 経営学部, 准教授 (40453972)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 飴と鞭 / 懲罰 / 報酬 / ゲーム理論 / 実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、飴と鞭、つまり報酬と懲罰という外的インセンティブによる集団内の個人の行動の調整手段について、ゲーム理論を用いた理論分析を展開し、理論予測を実験経済学の手法を用いて検証することを目的とする。ゲーム理論による分析をするに当たり、飴と鞭の重要な側面は、集団の中でより優れた成果をだしたものには報酬を与え、劣った成果をだしたものには懲罰を与える、という相対評価にあると考える。 26年度前半では、基本モデルにおける均衡の導出を行った。費用パラメータが特定の分布に従うことを仮定することにより、第一価格オークションのベイジアンナッシュ均衡を導出するのと同様のテクニックを用いて、飴型インセンティブが課されたときの達成度選択ゲームにおけるベイジアンナッシュ均衡を導出することができた。同様の方法で、鞭型のインセンティブの際のベイジアンナッシュ均衡も導出できた。 26年度後半では、組織の達成度への効果についての研究を行った。組織の達成度は、構成員の達成度siから構成される関数f(s1, s2, …, sn)であると考えられる。組織の達成度関数はおおよそ最小型、最大型、加算型、に分けることができると考えて、それぞれのケースで飴型と鞭型のどちらが効果的かを調べた。理論分析の結果、組織の達成度関数が最小型であれば鞭型のインセンティブが、最大型であれば飴型が基本的に効果的であることが明らかにされた。これらの直観に従う結果に加えて、集団内の人々の能力の格差の大小が効果的なインセンティブの選択に影響を与えることも確認された。 これらの内容については、ハワイで行われた Economic Science Association の世界大会で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常数理モデルを分析する上で、当初想定したような方法により、モデルを解析できない可能性が常に存在している。しかしながら、前年度の研究では、計画通りに数理モデルを解くことができ、かつ、概ね予想通りの結果を得ることができた。それゆえ、研究は計画通りに進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論分析はおおむね計画通り行われたので、28年度から被験者を用いた実験室実験により理論の検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
昨年度は理論分析に専念したため、今年度実施予定の実験の予備実験を昨年度中に実施することができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。当該予算については今年度の実験計画の中で速やかに消化していく予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度実施予定の実験の中で、予算を執行していく予定である。
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