2015 Fiscal Year Research-status Report
デジタル資源を活用したA・スミス経済思想の多元的学際的構造分析の新たな試み
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26590031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野塚 知二 東京大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (40194609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 名津子 一橋大学, 附属図書館, 助手 (30456305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | デジタルヒューマニィーズ / スミス経済学 / アダム・スミス文庫 / スコットランド啓蒙 / 知の構造化 / 経済学史 / 社会思想史 / 書誌学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究第2年度にあたる平成27年度は、デジタル化時代に即した古典籍の目録記述の方法論と、目録情報にアダム・スミスの思想形成過程や、過去のアダム・スミス研究の成果をどのように盛り込むかという論点に即して検討を進めた。 基礎文献研究班では、東大所蔵のアダム・スミス文庫について、書入・書込の有無について精査を継続した。昨年度と異なり今年度はデジタルデータが無く、直接、原本を精査しなければならないものについて調査を進め、文庫全体の90%強の調査を終えた。また、水田目録所掲のスミス旧蔵書のうち、原本の確認がとれていない380点程度について抽出・精査した。応用文献研究班では、東大アダム・スミス文庫に含まれる1781年版目録の校訂を継続した。構造研究班では、9月に1名をイギリスに派遣し、York Antiquarian Book Seminarに参加することで、古書店の目録やWebサービスの方法論・技術論、さらには古典籍の鑑識眼を高めるための情報を収集した。併せて、デジタルヒューマニティーズの先駆的プロジェクトであるUniversity College LondonのBentham Projectを訪問し、情報交換した。 これら各プロジェクトでの活動については、メーリングリストを活用して随時、情報の交換と共有に努めるとともに、6月と12月に研究集会を開催し、研究発表を行って討議により各自の研究内容を深化させた。特にイギリス出張の成果は、新目録の項目に活かすべく、全体で議論しつつ検討を進めた。 また、平成28年度開催予定の経済学史学会大会、日本西洋史学会大会に研究チームとしてエントリーし、ぞれぞれ当該研究に関する小シンポジウムを主催することとなった。そこで年度の後半からはこの準備のために、各自発表の構想を練り、メーリングリストや個別に打ち合わせの機会を持つことで、発表内容や全体構成について随時、打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点における内外の関係諸研究の整理・分析や、これらに基づく方法論、技術論からの研究については概ね順調だが、具体的な作成データについてはまだ素案の段階で、成果として公開できる形に整っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
経済学史学会および日本西洋史学会で小シンポジウムを開催して、2年間の研究から得られた知見をたたき台とし、関係諸学の研究者からの意見を幅広く得て、最終年度の研究とりまとめに活かしつつ、具体的なデジタルデータの成果物公開にむけて作業を進める。
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Causes of Carryover |
研究メンバーのうち首都圏以外のメンバーが、都合により研究集会に出席できなかったため旅費に余裕が出たことと、具体的なデータ整備が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経済学史学会大会および日本西洋史学会での成果発表のための旅費、およびアダム・スミス文庫の目録データとデジタルデータの整備を進めるために使用する予定である。
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Research Products
(15 results)