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2014 Fiscal Year Research-status Report

排出権取引市場でのコンプライアンス行動を促す制度の検討:経済実験を通じた制度分析

Research Project

Project/Area Number 26590041
Research InstitutionTakasaki City University of Economics

Principal Investigator

岩田 和之  高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (90590042)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 田中 健太  武蔵大学, 経済学部, 講師 (30633474)
田村 輝之  上智大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (80635037)
Project Period (FY) 2014-04-01 – 2016-03-31
Keywords経済実験 / 排出権取引
Outline of Annual Research Achievements

本研究は排出権取引市場を想定し、その市場内における参加者による違反行動をどのように抑止できるかという点に着目し、経済実験を通じて検証を試みている。経済実験については1回あたり20名の被験者(学生ではなく一般の方)に参加してもらい、計12回を実施した。そのため、これまでに240名の被験者に本研究の被験者として参加をしてもらっている。研究計画に沿って実験は進めているため、実験では被験者に対して共通のルールを課している。そして、実験の設定上はルールを破る(違反する)方が得になるような設計を行っている。その上で、12回の実験毎に、違反がある場合の罰則に変化を加えている。具体的な罰則としては、1)違反の度合いに応じた低額罰金、2)違反者のIDの実験室内での公表、3)違反者の氏名の実験室内での公表の3つである。2と3については排他的であるため、計6つのトリートメント(各トリートメント2回の実験)を実施している。

実験結果の詳細分析は現在行っているが、違反抑制にとって最も有用であると確認されたのは1の罰金であった。ただし、罰金額については違反する方が得になる程度の低額に設定している。それにも関わらず、2と3と比較して最も違反抑制効果が認められている。これは単純な損得勘定のみで人は行動していないことを示唆しているものである。このことは、人々は違反を行うことに対する嫌悪感あるいは罪悪感のようなマイナスの感情を抱いていることも指す。これは、いわゆる社会的規範が機能しているといえる。そのため、社会的規範を考慮した制度設計を検討する必要があるといえる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の成果は経済実験の成功にかかっている。経済実験については、2014年度も含め、計12回を実施し、いずれについても失敗することなく予定通り実験を実施できている。そのため、本研究は十二分なデータを収集することができているといえる。

また、分析については2015年度に詳細に実施するものの、簡単な分析では予想通り、違反の抑制に対して、たとえ少額であっても罰金が大きく有用であることが確認できた。今後は他の2つの違反者公表制度の効果も定量的に分析していく必要がある。

Strategy for Future Research Activity

2015年度については、これまでに実施した経済実験のデータを元に、定量分析をし、論文を執筆する予定である。特に、違反者のIDの実験室内での公表と、違反者の氏名の実験室内での公表の2つの制度の違反抑制効果の測定を試みる。そして、それらの制度が市場全体にどのような影響(価格の分散や収束速度、あるいは社会構成)にどのような影響を与えるかを識別していく。それが終わった後の年度後半では、英語雑誌への投稿を見据えて、追加の関連論文をレビューしつつ論文を作成していく。

Causes of Carryover

経済実験が失敗することがなかったため、追加の経済実験の必要性がなくなったことが、次年度使用額が生じた最も大きな理由となっている。また、経済実験で収集したデータの整備年度内には終わっているものの、下半期までかかってしまったため、学会発表に間に合わなかった点も繰越が生じた理由となっている。

Expenditure Plan for Carryover Budget

繰越金額については、本研究に関連する書籍や論文の購入に充てると同時に、分析用のソフトウェアの購入、学会や研究会での情報収集・発表等の旅費に充当する予定である。また、他の統計データとの結合作業も検討し、その作業に対する人件費にも費やす予定である。

URL: 

Published: 2016-05-27  

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