2015 Fiscal Year Research-status Report
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26590109
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉田 米行 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (00216318)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 外交 / 国際関係 / 社会保険 / 健康保険 / 医療保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は外交・国際関係と医療保険研究の融合を目指している。2年目は特に1920年代から1950年代までを射程に入れ、実証研究を行い、さまざまな学会や国際シンポジウムでの発表を行った。この研究でわかったことは以下の点である。(1)少なくとも1920年代のアジア太平洋地域におけるワシントン体制から1940年代の日本が大東亜共栄圏を目指す時期において、外交・国際関係の動きと日本国内において、健康保険から国民健康保険に移っていったことの間には有機的連関性がみられる。今年の研究ではその点を実証的に論証することができた。(2)1920年代の国際情勢を反映する健康保険から1930年代以降の国際情勢を反映する国民健康保険とは、質的に全く異なるものであるという仮説を、今年の研究では実証的に論証することができた。(3)以上の実証研究により、外交・国際関係論と医療保険研究という二つの異なる学問分野を融合する可能性が見えてきたことが今年の研究でわかったことの中で最も大きな成果だと言える。(4)占領期においては、世界システムからの隔離という国際情勢が、日本国内における社会保障計画が百家争鳴の状況であったことを説明できると考えている。今年はこの面における実証研究は多少できたが、まだ、論文にまとめることができるほどの説得力がないということがわかった。来年、さらに実証力を高めるための証拠集め、仮説の見直しが必要だということがわかった。今年の成果の一部は論文、研究書の章、論説等で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
各論の分析が当初予想以上に進み、国内外でのシンポジウム等で発表をし、好評を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
各論をさらに進めるとともに、統合に向けてさらに努力する。研究論文のみならず、エッセイや論説、翻訳として広く一般社会に貢献できるように発信していきたい。
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Causes of Carryover |
招へい研究者の旅費が想定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
招へい研究者の旅費等に使用。
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