2016 Fiscal Year Annual Research Report
Test of "Blue Color Effect":What does blue environment affect in cognition, mentality and behavior?
Project/Area Number |
26590131
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小島 治幸 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40334742)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 青色 / 色彩 / 環境 / 認知 / 心理 / 行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,青色照明あるいは青色の環境が,他の色彩環境下と比べて人の心理や行動に特別な効果を持つか否かを比較検討することを目的とし,研究期間内に大きく分けて3つの実験を行った。 実験1では3色の室内照明光(白色,赤色,青色)の下において,人の認知的課題成績に差異が生じるかを検証した。認知課題には,1.記憶課題,2.文字判断課題,3.気分評価課題,4.なぞなぞ課題,5.衝動性質問紙尺度が用いられた。その結果,文字判断課題において赤色条件では青色条件よりも反応時間が有意に短い傾向が示された。しかし,他の課題において照明条件間での明確な有意差や有意傾向は示されなかった。 実験2では,色彩が認知処理に何らかの効果を与えるのかを詳細に検討するために,語彙の系列学習課題を用いて記憶成績が調べられた。実験は,1)記名語の文字色,2)背景色,を白,赤,青とした場合,3)刺激語とその呈示背景はモノクロだが,記名語を黒色,赤色,青色のボールペンで書いた場合,の3条件で行われた。その結果,何れの呈示記名条件でも全体として色彩条件間での成績の違いは観察されなかった。しかし,試行の後半もしくは終了直前において色彩刺激条件による成績の違いが見られた。今後,この現象について,より詳細な検討が必要である。 実験3では,色彩環境による認知的処理および行動特性の変化を調べるために,認知心理的課題の実施とともに生理指標の計測を行った。その結果,認知課題や行動特性課題の成績のみならず,心拍数,血圧,唾液アミラーゼといった生理指標についても色彩条件間での明確な差は観察されなかった。 本研究では,いずれの実験においても,色彩,特に青色が人間の認知行動に変化を及ぼす効果(青色効果)を明確に見出すことはできなかった。
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