2015 Fiscal Year Research-status Report
大学生のメンタルヘルスケアに有効な動物介在プログラムの開発
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26590156
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| Research Institution | Yokohama National University |
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Principal Investigator |
安野 舞子 横浜国立大学, 大学教育総合センター, 准教授 (20507793)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 学生支援 / 大学生 / メンタルヘルスケア / 動物介在プログラム |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年つとに増えているメンタルヘルス上の問題を抱える大学生に対し、心理的介入法の一つである動物介在活動のプログラムを開発することである。また、本研究では、介在させる動物として「動物愛護センター等に保護された猫」を採用することにしているが、それには、日本で年間十万頭近い猫が殺処分されているという現実が関係している。行政の保護センター等に収容され、殺処分を免れた猫たちに、セラピーキャットとしての新たな生の道を歩んでもらう可能性も本研究では追及していく。
この目的遂行のために、平成27年度は、横浜市動物愛護センターから譲渡していただいた1頭の猫をセラピーキャットとして、大学生9名を被験者とし触れ合い実験を行った。猫との触れ合い活動を通して、被験者の精神的健康度がどれだけ変化するかを明らかにすることが目的である。
週1回30分の触れ合いを4週間かけて行ったが、毎回の触れ合い実験実施前後に行った調査結果の平均値を比較したところ、いずれの回においても猫との触れ合い後のストレス度が有意に低下していた。また、被験者からは、「心結(こころ。セラピーキャットの名前）と触れ合うことで、課題のことでイライラしていた気持ちが落ち着いて、逆に頑張ろうと思えるようになりました。」「日々の生活の中で色々なことに疲れた時、心結ちゃんと遊ぶ時間を考えると、また頑張ろうと思うことができました。」といった声も聞かれた。更に、触れ合い実験の最終回で、被験者に「今後、大学の施設内に自由に猫と触れ合える場所ができれば利用したいと思うか」尋ねたところ、全員が「そう思う」と答えていた。
以上のことから、大学キャンパスにおいて動物介在活動を実施することは、メンタルヘルス上の問題を抱える学生だけでなく、いわゆる健常者の学生にとっても勉学への取組み意欲の向上という面で心理的なサポートの幅が広がる可能性があることが窺えた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学生のメンタルヘルスケアに有効な動物介在プログラムを開発するために、動物（猫）との触れ合い活動が、大学生の精神的健康度にどれだけプラスの影響を及ぼすか検証する実験を行った。この効果検証は申請者の研究室で行ったものであり、大学キャンパス内でより多くの学生に利用してもらえるようなプログラム内容とその実施体制について検討することが最終ゴールである。しかし、効果検証実験後に申請者に病が見つかり、手術・療養生活がしばらく続いた為、その検討作業が充分行えなかった。そこで、補助事業期間延長承認申請を行い、承認が得られたので、研究期間を1年間延ばして事業を総括することとなる。
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| Strategy for Future Research Activity |
大学生を対象とした動物介在プログラムについて、その内容と実施体制について検討する。当事業初年度に行った文献調査により、米国では、メンタルヘルスに問題を抱える学生の増加に伴い、キャンパス内（主に図書館）で「ドッグ／ペット・セラピー」を実施する大学がこの10年で急激に増えていることが分かった。そこで、交渉の段階で有益と判断できれば、代表的な実施大学を訪問し聞き取り調査を実施する計画であったが、申請者の体調の問題から海外訪問調査は難しい状況になっている。今後、主治医と相談の上検討するが、当事業開始から2年経った今、米国の大学における「ドッグ／ペット・セラピー」に関する文献はかなり増えており、文献調査でも大学生を対象とした動物介在プログラムの内容と実施体制についての検討は充分できると考える。なお、動物介在活動においては、介在させる動物の福祉にも充分配慮しなければならないが、本研究を進める中で「アニマル・コミュニケーション」（動物の心を感じ取り、人間に伝えることにより、動物と人間の相互理解を深めるための手法）が、動物の福祉への配慮のみならず、動物と人間の関係性をより良いものにする可能性を秘めていることが分かった。よって、この「アニマル・コミュニケーション」にもアプローチしつつ、今後研究を進めていく。
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| Causes of Carryover |
初年度に計画し、実施できずに翌年度に持ち越した米国への訪問調査を、その年度も実施しなかったため、その旅費分が繰り越された。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
申請者の体調に問題がなければ、米国への訪問調査を行いその旅費として使用する。また、動物介在プログラムを考案し実施するにあたり必要な物品の購入や人件費・謝金として使用する。
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