2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26590179
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
桐田 隆博 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (20214918)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳幼児泣き声不快尺度 / 情動伝染尺度 / 多次元共感性尺度 / 認知的評定 / 脈拍変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳児の泣き声に対する感受性を測定する尺度の構成を目的とする。泣き声に対する感受性に関連する心理的反応として、泣き声に対する不快感情の生起がある。今年度は、泣き声に対する不快度と関連する要因を検討した。 まず、乳児の泣き声に対する不快度と個人特性、とりわけ、共感性との関連について検討した。287名の大学生および短大生が、乳幼児泣き声不快尺度、多次元共感性尺度、日本語版情動伝染尺度、STAI日本語版特性不安尺度、成人用感覚感受性尺度および、属性項目から構成される質問紙に回答した。泣き声の不快度と、個人要因の因果関係を明らかにするために、パス解析を実施した。その結果、泣き声の不快度に影響を及ぼす要因の階層的な因果構造が明らかになった。すなわち、怒り伝染と喧騒感受性は感情的共感性の構成要素である個人的苦痛を高め、続いて、個人的苦痛は泣き声の不快度を高めることが示された。これに対して、幸福伝染と悲しみ伝染は、感情的共感性のもうひとつの要素である共感的配慮を高め、その結果、共感的配慮は泣き声の不快度を低減する働きを有することが明らかになった。また、認知的共感性の構成要素である視点取得は個人的苦痛を低減する一方で、共感的配慮を高めることが示された。さらに、乳児の抱っこ経験が、直接的に泣き声の不快度を低減することが示された。 次に、上記の質問紙調査に参加した学生の中から、抑制環境における泣き声不快尺度得点が高い者と低い者を対象として、実際の乳児の泣き声に対する認知的評定と生理的反応(脈拍)を実験的に測定した。このうち、認知的評定に関しては、抑制環境において泣き声に対して高い不快感を示した学生は、実際の泣き声に対してもネガティブで不快な感情を抱き、泣き声をより活動的と捉え、泣く乳児に対して共感を感じにくいことが明らかになった。生理的反応の分析については次年度の課題とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳児の泣き声に対する感受性には、正の要因と負の要因が存在することが当初から想定されていた。この感受性に関する正負の要因をどのように測定するかが、大きな問題であったが、本年度の研究によって、乳幼児泣き声不快尺度が、実は、泣き声に対する感受性の正負の要因を反映していることが示された。したがって、この乳幼児泣き声不快尺度を中核とする尺度を作成することで、乳児の泣き声に対する感受性を測定できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、乳児の泣き声に対する不快度と生理的反応について分析を進める。その結果に基づいて、乳児の泣き声に対する感受性尺度の具体的な項目について検討する。
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Causes of Carryover |
当初、研究期間は3年の予定であったが、大学校舎の修繕工事等により、実験の実施時期が最終年の年度末にずれてしまったことから、研究期間をさらに1年延長する必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の経費については、研究成果を学会等で発表する経費として使用する。
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Research Products
(3 results)