2014 Fiscal Year Research-status Report
学士課程教育における個の変容を的確に示す成果評価のあり方に関する実証的研究
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26590196
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
橋本 健夫 関西国際大学, 教育学部, 教授 (00112368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 雄作 独立行政法人大学入試センター, その他部局等, 教授 (00160549)
山地 弘起 長崎大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10220360)
劉 卿美 長崎大学, 学内共同利用施設等, 教授 (00346941)
松本 優花里(橋本優花里) 福山大学, 人間文化学部, 教授 (70346469)
川越 明日香 長崎大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00711962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 学修成果の可視化 / 成績評価 / 教学IR / 授業改善 |
Outline of Annual Research Achievements |
IT化、国際化等によって急速に変化する社会は、大学に対して生涯学び続け主体的に考える人材の育成を要請するとともに、その教育成果を見える形で示すように求めている。これに応えようと各大学は様々な努力を行ってきている。しかし、その手法は確立されておらず、社会の要請に応えきれていないのが、現状である。 従来から、4年間の変容に関しては、個が積み重ねた履修科目の成果、いわゆる成績評価がその任を担ってきた。しかし、それは各担当教員が想定する知識・技能の修得レベルに対しての、彼、彼女の学期末の到達度を示すもの、つまり専門知識の獲得の程度を指し示すものであり、現在の社会が求めるそれらを使っての課題解決力等の評価にはなっていない。この要求に応えるとすれば、知識・技能という単一視点からの評価ではなく、その活用等の態度や行動特性などを見極めた評価が必要になる。 本研究に於いては、大学で積み重ねられてきた評価手法の他に、民間企業が開発した社会人基礎力測定法や、米国の大学で普及し日本でも用いられている社会が求める能力を間接的に聞き取る方法を用い、経年的なそれらの結果を組み合わせれば、個の変容を可視化できるのではないかと考え、その実践を行うことになっている。 本年度は、個を理解し、的確に把握する授業方法の確立に力を注いできた。このために、従来から行ってきている毎時間のコミュニケーションカードの活用だけではなく、彼らと一緒になって授業空間を作ってきた。これは、教員と学生の距離を非常に近くすることによって、紙面では計れない彼らの能力・態度を見極めたいと考えたからである。コミュニケーションカードやクリッカーによる調査及び成績とを比較分析することによって彼、彼女らの行動特性が明らかになってきている。来年度は、直接測定結果や関節測定結果とも関連させて、個の変容を明らかにしていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究対象とした授業は、本年度から研究筆頭者が担当したものであるが、専門分野の異なる学生が存在することから、本研究の目的に即した分析が可能となっている。そして、分析によって各専門分野ごとの特性が表れて来ている。さらに、年度末には、米国のコミュニテイカレッジを訪問し、その教育を直接見ることができ、学生たちとも話し合うことができた。これによって、可視化に不可欠な授業改善のヒントを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大学教育の可視化は、単に講義を行い、その知識・技能の獲得状況を測定することだけでは不可能である。教員と学生の距離を縮め、彼らの考え方や行動特性を的確に把握することが非常に大切になる。次年度に於いては、それを可能にする授業のあり方を彼らと一緒に模索することにしている。これは、従来の大学教育の考え方、つまり、授業内容や方法に関しては、担当教員が単独で考え実施する形態とは非常に異なるものである。しかし、この方法が有効となれば、彼らの求めているものも理解でき、その変容を的確に把握することができると考えている。 さらに、本年度と次年度のデータを積み重ねることによって、他教科での彼らの行動や成果も把握でき、それらを分析すれば成績評価のあり方も見えてくるものと考えている。その意味では、直接評価や間接評価との関連性を分析することも非常に楽しみである。
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Causes of Carryover |
山地氏は2014年の10月から米国大学での研修に行かれた。そこで、科研の資料を集めるとともに、ニューヨークでの本科研の会合にも出席された。 大塚氏は、2014年度に新しい職場に移り、管理職の立場からの業務が多くなった。このため、平成26年度の米国調査には行くことができなかった。また、本科研の研究会には出席されたが、その費用は別の財源を充てられた。川越氏は、平成27年度のパソコンの新調を考えておられ、その費用に充てるために繰り越された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由より、山地氏と大塚氏は、平成27年度に米国の大学調査を計画しているため、その旅費に充てる。川越氏は、パソコンの購入費に充てる。
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Research Products
(7 results)